いまでも色あせないすばらしい分析です

中野剛志さんがこの本に言及していたので、
読んでみた。
金融経済が実体経済を振り回している現在の資本主義のことをすでに、
１９９０年代初頭に分析していた。
１９８０年代半ばに世界的に金融自由化となり日本もそれに追随したわけだが、
実体経済と金融経済のおのおので利用される貨幣の量を比べるとともに、
金融経済の失敗が実体経済の景気後退を招いていることを、
豊富なデータや図表を駆使して説明している。
尻尾（金融）が本体（実体経済）振り回す様をこんなに前に明示し、
分析しているところに、
宮崎先生のすごさがあるんだろう。
金融経済が実体経済を左右する傾向は強まるばかりの昨今であり、
この傾向に歯止めが利かないのであれば、
実体経済に生きている人々（大半の人間がそうではあると思うが）の幸せは、
金融経済にいきる人々の意思に握られているということになるのであろう。
はたしてそれでいいのか？ということを考えることのきっかけになるでしょう。
本来であれば、
このような本がもっと注目を浴びていいと思うのだが、
あまり脚光を浴びなかったのは、
なぜだろうか？いわゆる構造改革を唱える方々（すなわち新自由主義という美名のもとに、
「すべての規制撤廃」と叫ぶ人たち）にとっては都合の悪い考え方だったのではなかったのかと穿った考えまで浮かんでしまいます。
今になって中谷巌さんなんて、
「構造改革を唱えた自分は間違っていた」「懺悔だ」なんていって本を書いてるくらいです。
この本は２０年くらい前の本ですが、
金融経済の獰猛さや危険性を十分示唆していたので、
古いどころかこの本に立ち返って現在を分析するべきじゃないのかと思うくらいです。
今こそ、
獰猛な金融資本主義に手綱をつけるときではないだろうか？。