朗朗と歌い上げるバレンボイムのシューベルト！

　バレンボイムの演奏は、
学生時代に東京教育文化会館４階で、
断崖絶壁から下を見下ろすような一種の高所感に怯えながら聴いたことがあります。
圧倒的なテクニックと強靱な打鍵に驚愕し、
ヴィルトゥオーゾ型のピアニストであることを実感しました。
指揮者としての活動が中心のバレンボイムですが、
今回はシューベルトのソナタ集の初録音ということで、
興味をもって聴き入りました。
最後の第２１番の遺作ソナタは、
オーソドックスなテンポで朗朗と歌い上げるような、
心にしみ入るシューベルトを堪能することができます。
枯淡の印象は無く、
テクニックも衰えを感じさせない、
若々しい演奏です。
第1楽章の省略される箇所もしっかり演奏されており、
模範的です。
一切の誇張や極端な自己主張はなく、
ひたすら淡々と演奏しているのが好感がもてます。
愛聴盤としてこのＣＤセットをお薦めします。
輸入盤は3000円程安く、
廉価盤となっています。