長編と感じさせない１９世紀英国人間ドラマ

登場人物が１００人を超える物語であるが、
中心となる一族はCrawley, Osborne, Sedley家である。

二人のヒロインがいるが、
善玉のAmelia、
悪玉のRebeccaが中心となるが、
そこへWilliam Dobbin
とGeorge Osborneの子供時代からの友情が描かれる。

67章に及ぶ大長編であるが、
長さを感じさせず１つ１つの章を楽しめる。

Rebecca(Becky)は憎むべき女なのかそれとも上昇しようとして苦闘する不幸な女なのか、

読者に判断をゆだねられている。

ワーテルローの戦いなど歴史的背景も興味深い。

DobbinがAmeliaを何年にもわたって思い続けるところは、
イギリス人だからなのか、

それとも人間普遍の心理なのか考えさせられる。

最後に思わぬ感動のエンドを作者は用意している。

ところどころ、
昔のことが書かれわかりづらいので、
中島賢二訳をかたわらにおきながら読んだ。

こちらの岩波文庫は挿絵があるので、
理解に役立ちます。