緊迫感が切ないです。

１ドキュメント、
２証言、
３科学的考察、
４救助現場報告の４章で構成されています。

噴火直後から刻一刻と伝えられる現場の様子をマスコミを通じて知っていたはずですが、
改めて本書を読み、
あまりの緊迫感に息苦しくなりました。
噴石の直撃を受けて行動不能になった方あり、
熱風とともに火山灰を吸い込んだ方あり、
噴火とはそういうものなのだと教えてくれます。
第２章の「証言」では晴天の週末、
紅葉を楽しみに登っただけの山で起こった突然のことに今さらながら切なさがこみ上げました。
文字どおり目の前で倒れた仲間たちを助けられなかった被災者がご自分を責めないよう祈らずにはいられません。

また、
自分の身を守ることさえままならない中で助け合った登山者と山小屋の人々、
救助にあたった自衛隊他の方々に心からいたわりと称賛の言葉を送りたいと思います。

巻頭見開きの口絵写真にモノクロ写真が紛れ込んでいるように見えますが４枚すべてカラー写真です。
火山灰でモノクロの世界と化してしまった頂上山荘付近の写真がそのすべてを物語っています。