自分はそこそこ品があるほうだ、と思う人は読んでみよう。

誰だって品のある人でいたいし、
品のない人にはなりたくないと思うだろう。
そして、
自分はそれほど品のない部類の人間ではないと、
心のどこかで考えていることだろう。
そういう人にこそぜひ手に取ってもらいたい一冊だ。


というのも著者は初っぱなから、
＜品があるとは、
品がない自分に気づけることだ＞と断じ、
＜品のない人は、
品がないことをしても「自分は正しいことをしている」と思っています＞と、
斬り込んでいるからだ。


私自身、
そこそこ品のある人のつもりでいたが、
本書を読んで、
いかに自分が品のない＜行動のデブ＞になっていたかに気づかされた。


著者の説く「品のある人」とは、
おそらく「他者に対する気遣いのできる人」ということであり、
「品のない人」とはその逆だろう。


＜扇子は、
半分だけあけて緩やかに振るのが一番涼しい状態です。

実際に涼しいことより、
まわりに涼やかに見えることのほうが大切です。
＞（152頁）

＜自分の快・不快ではなく、
自分がまわりの人から見て快か不快かに気づくことが大切です。
＞（193頁）

このような言葉からもそれは明らかだ。
その視点から自分自身を省みるとき、
いかに自己本位の「品のない」態度をまき散らしていることかと、
恥じ入らざるをえない。


品と自己肯定の関係や、
いま流行りのＳＮＳに潜む危険性、
さらには品のよさが周りの人にも広がっていくという指摘には、
目からうろこの思いがした。


全編を通じ、
著者の広い見識と鋭い観察眼が十二分に発揮されており、
「あー、
これあるある」「うわ、
これは自分だ」と教わりつつも楽しみながら読むことができる。
読後には、
どことなく立ち居振る舞いが品よく変わっている自分に気づいて、
それもまた楽しい。