踏み入れた快楽の世界

夫と２歳の娘、
義理の両親と同居し
恵まれた生活を送っていた村主塔子。


女友達の結婚式で20歳の頃に付き合っていた
不倫相手、
鞍田に10年振りに再会する。


出産を機に退職したことを後悔していた塔子は
鞍田の計らいで同じ職場に採用が決まる。


小さかった世界が広がり塔子を取り巻く人間関係が
変わっていく中、
普通でいたい、
世間から逸脱したくないが為に
本当の自分を閉じこめてきた塔子が２人の男性に
影響されながら自分を解放していく。


夫とは3年間セックスをしていない。

妊娠初期に｢当分しない」と言われ浮気の不安から
オーラルセックスをするようになり産後も習慣になってしまう。


妻となり母になって女性として自信を失いかけてた塔子を
10年振りに再会した鞍田は変わらずに愛してくれた。

閉じられていたものが鞍田によって解放され塔子は
快楽の世界に溺れていく。


我が儘で理解のない夫、
上手くいってると思う姑との仲
日々の家事、
育児、
そして、
貯め込まれていく本音。


安定を求めて選んだ生き方は自分らしさを必要としない
本音など意味のないものだった。

型から抜け出すことの出来なかった塔子に
本来あるべき自分の姿を教えてくれた鞍田。

何が幸せなのかが自分の中ではっきりし始めた塔子に
思いもしないメールが届く。


この作家さんは塔子の揺れ動く感情、
性欲心理を
実に繊細に描いています。

登場人物も皆、
魅力的です。


そして鞍田以外に、
もう一人、
塔子より少し年上の
小鷹という男性が登場するのですが
塔子と小鷹との関係性が私は好きです。

女性慣れして軽いのですが塔子の弱い部分も本音も
遠慮なく突いてくるのです。


400ページ余りありますが
読み終わるのが惜しくなる程でした。

ただ、
不倫の話なので意見が分かれると思います。