「やさしい＝誰でも簡単に理解できる」ではなく、「やさしい＝図が豊富」と捉えて読む本

この本はコロイド・界面化学を専門とする学生の復習用または興味を持った学生の入門用の書籍です。

書籍タイトルにはやさしいと書かれていますが、
これは界面化学に関する予備知識がない人が簡単に
理解できるという意味ではなく、
図が多いという風に捉えて下さい。

全部で68項目ありますが、
各項目は見開き2ページで、
右側ページが文章、
左側ページが図表となっています。

界面化学を全く知らない人にとっては、
専門用語（ミセル、
ベシクル、
クラフト点、
曇点、
ヘキサゴナル、
キュービック、

ラメラ、
DLVO・・・等）が多々出てくるため、
初見で理解するには少々荷が重いかもしれません。
しかし、
界面活性剤
のみならずコロイド・界面化学を理解する上では必要な用語が全て揃っているので、
辞書代わりとして活用できます。


界面化学の基礎的な部分は、
20年、
30年前の教科書からあまり変わっておらず、
完成された面があります。

従って、
界面化学の分野の教科書は古い教科書が多いため、
取っ付きにくい本が多いのですが、
この本は
図やイラストを豊富に利用しているため読みやすいと思います。


また驚いたのは、
場合によってはかなり踏み込んで記述されている項目がある点です。

クラフト点はイオン性界面活性剤の水和固体の溶解量が急激に増加し始める温度のことであり、
ほとんどの教科書には
そのように記述されていますが、
この本では、
実は非イオン性界面活性剤にもクラフト点が存在することを書いています。


化学を学んでいる大学生などには星5ですが、
全くの異分野の人や化学を学んでない人には読みづらいと思われるため星3です。

従って、
間をとって星4とします。