キャッチアップの時代はとっくに終了。当然，欠点修正型の教育も終わりを迎えるべき。

　企業（就職すべき会社や組織）が先にあり，進学すべき大学や高校が先にあり，個人（子どもたち）は自分をそれに合わせるためにあくせくしていました。
合格点が決まっていることが評価であると刷り込まれた人々は，人物そのものの評価ができなくなり，多様性を失い，有名企業，有名大学が「よい」という価値観が固定されてしまいました。

　できる者はテストの点数は良いものの，自ら創造的な生き方を探ることや新しいことに挑戦する能力を開発することなく成年を過ぎ壮年に入ります。
その結果どうなったでしょうか。
挫折に対する耐性が低いことが露呈される部分があるといえるのではないでしょうか。

　できない者は，「できない」ことがテストなどの一面的な観点による評価であるにもかかわらず，自分の全部が劣っているように思い込んでしまいます。
学校の教師もそういう子どもたちをそのように見る傾向があります。
（教師はある面，合格点が設定されていた社会の中での「できた」側の人間なので，幅広く教養を積んだ人間でないと，子ども他を見下す傾向があると思います。
）「できない」子は，自分自身も大人も「できない」と決めつけるので，自尊の感情が高まる余地がありません。

　自尊感情のない人間が日本にあふれてくると，間違いなく日本は沈没してしまいます。

　すべてをネガティブに感じる心が醸成されてしまうからです。
その極め付けが自殺ということでしょうか。

　こうならないために，まず，大人の教育観を変革しなければなりません。
特に，子どもの評価をテストに頼ることなく，子どもを多面的に見ることだと言えます。
子どもの存在を丸ごと受け入れることだと言えます。

　認められて育った子どもは，自ら生きる道を探り，勇気を持ち，挑戦し，成功を夢見て，着実に一歩を踏み出していける力を持てるようになります。
その力の根源が「自尊感情」ということでしょうか。

　人間を表面で評価する時代は終わったのです。
大人の私たちが自分の心と対峙し，子どもたちの心を，内面を育てていく努力をしていくことが求められる時代になってきているのだと私は考えています。