キャリア形成に関する視点として興味深い内容が論じられている

高度経済成長以後，一貫して保持されてきた「日本の経済は成長し続ける」という神話に基づいたキャリア形成の在り方とは異なった見解を提示するものであり興味深い。

本書によると，21世紀のキャリア環境は「想定外変化」と「専門性の細分化深化」の流れにあるという。

「想定外変化」とは，簡単に述べるならば，「自身ではコントロールすることができない外在的な要因（例えば，経営悪化によるリストラなど）によって否応なくキャリアが大きく変化してしまうこと」であり，「専門性の細分化深化」とは，「仕事の専門性が以前にも増して細かくなり，求められる知識や技術が一層高度なものになること」である。

このふたつが頻繁におとずれるのが21世紀の労働環境であるという。
こういった想定外変化に臨機応変に対応していく能力が必要であり，そのためには「仕事観」の重要性が増してきており，その醸成が急務であるという。

キャリア教育の視点から見た場合に，全てではないとしても，ひとつの切り口として大変参考になる一冊である。