楽しく正直に音楽をやってるかい

もしかしたら，このひとだけが，
自由に音楽を歌っているのかも知れない，と思った．
もしかしたら，このひとだけが，
前を向いて歌っているのかも知れない．
そんな気がする４曲だ．

これらの歌を聴いていると，
3.11 を歌うことは，過去を振り返るためではなく，
あの日を起点として
行くべき先に向かうために私は歌い続ける，
と言っているように聞こえる．

あなたは何をしたい？

どの曲も，予定調和ではなく，
素晴らしい演奏で，
工夫に満ちていながら，清々しく，
言葉で訴えていながら，技巧的ではない．
まさに歌っている．
音楽をする楽しさを少しも犠牲にしないで辿り着く
本物のメッセージ．

若いミュージシャンは，
思うままにやっているようでいて，
売るための技巧から放たれてはいない．
新しさを演出する必要が，彼らの音楽を規定する．

しかし，このひとの歌は違う．

もしかしたら，
かつて，沢田研二を仰ぎ見ていた多くのミュージシャンが
のたまっていた「俺たちは売れるために音楽をやっているんじゃない」
ということを本当に実現したのは，沢田研二だけなのかも知れない．
かつて自分のメッセージのために音楽をやっているんだと
言っていた連中が，大金を手にした後，メッキが剥がれて,
大御所ごっこをして暮らしているのとは対照的である．

楽しく正直に音楽をやってるかい．

ジュリーは，その境地に立って
FUKUSHIMA を見ている．