ドラマ志向の強い異色のゾンビジャンル作。結構見応えあります。

もう終わるだろうと思いつつも延々と続いてきた”ゾンビ・ブーム”。

昨年には決定版とも言える超大作World War Zも無事（？）公開され、
ブロックバスターからコメディまでパターンは出尽くした感が無きにしも非ず。

流石にもう、
簡単には新鮮なネタは出てこないだろう、
という事で本作にはあまり期待はしておりませんでした。

ですから意外にも楽しめた本作にはちょっと肩入れしたい気分。


但し、
本作は確かにゾンビテーマを扱った作品で、
お約束の流血シーンも盛り込まれてはおりますがいわゆるゾンビ・ホラーではないんですよね。

ですからホラー的なエンタティメントを過剰に期待すると肩透かしを喰らいますのでその点には注意が必要かと。

本作の特徴はゾンビをダシにしてはおりますが「ドラマ志向」がかなり強いことでしょうか。

このシリアスさ加減にはやはり本作がアメリカ映画ではなくカナダとスペインの合作と言う辺りが影響しているのかもしれません。


人類を絶望の淵へと追い込んだゾンビウィルスの脅威。

その文明崩壊の瀬戸際で開発された抗体ワクチン。

ゾンビウィルスに感染後、
一定時間以内にそのワクチンを投与することによって多くの”感染者”はゾンビ化を免れることが可能となります。

やがて彼等はReturned＝「帰還者」（原題）と呼ばれ、
外見上は健常者と何一つ変わらぬ生活を送る事が可能になり社会生活に溶け込んで行きます。

ただしゾンビウィルスを体内から駆逐することはできず、
生涯に渡って継続的にワクチンを注射することが発症を抑える唯一の手段となります。

もし36時間以上ワクチンを接種しなければ知性と意識を喪失し、
生きる屍と化す運命が待ち受けており、
そうなると二度と回復は望めません。

既存のワクチンの製造材料の枯渇が迫る中、
代替薬の開発が遅れ、
ワクチンの流通量は減少の一途を辿り始めます。

それにつれて健常者から帰還者へ向けられる疑念と警戒の視線は厳しさを増し、
ついには社会的ヒステリーの様相を見せ始めるのですが。


言ってみれば本作は昨年のWorld War