燃料の調達先についての主張に疑問あり

細かい揚げ足取りになってしまうが、
三橋氏は本書で「石油火力で燃やされる原油の調達先は、
どうしても中東に集中してしまう」「電力会社は原油をドカ食いする石油火力の稼働率を高め、
わが国の中東依存度が高まっている」と主張しているが、
この主張は明らかに誤りである。

火力発電で使用する原油は低硫黄である必要があるため中東産ではなく、
インドネシアやベトナム、
ガボンなどから火力発電用として輸入しており、
中東産の原油は火力発電には使用していない。
中東産原油は硫黄分が多く燃やすと汚染物質が大量に出る、
ガソリンなど他の用途にも使える油を多く含むなどの理由からである。

中部電力や関西電力など大手電力会社の公式サイトをみても火力発電用の原油は中東以外の国々から調達していることがわかる。

http://www.chuden.co.jp/corporate/publicity/datalist/dat_service/dat_chotatsu/index.html
http://www.kepco.co.jp/corporate/energy/thermal_power/fuel/status.html
なぜ、
経済評論家の三橋貴明氏がちょっと調べればすぐわかるような誤った主張をしているのか理解できない。

彼は、
エネルギー安全保障を語る上で、
東南アジアやアフリカ、
オーストラリアより中東のほうが都合が良いので、

あえて中東から調達しているように主張しているのだろうか。

上記の記述は第二刷以降は是非とも訂正してもらいたいものだ。