美しい鳥のイメージの中に感じとれる仏教の本質

「世界は無常であることを、
よくお考えなさい。
死はいつやってくるかわからないことをよくお考えなさい。
心を汚すおこないから遠ざかることの大切さをよくお考えなさい。
P.24」

「この生で体験する喜びも幸福も、
しょせんは夢にすぎません。
・・・あなた方の心を引きつけているこの世の行為には真実の意味がありませんp25」

「輪廻する世界の幸福も、
地上での生活で体験するささやかな喜びも、
幻のようなもの、
夢のようなもの、
空の虹のようなもの・・長く存在できるものではなく、
本質を見いだすこともできないのだ、
とブッダは比喩を使って説いたのでした。
ですから、
輪廻する世界に本質のないことを思い、
揺らぐことのない輪廻からの避難所である三宝を頼りにして、
この生と未来の生の希望である正しいダルマを、
しっかりと身にまとうのです。
p.62」

今私達が生きていること世界には本質的なものは何もないし、
意味のあるものも無い。
この世の喜びは幻のようなもの、
死はいつやってくるかわからない。
だから、
この世のものに対する執着を捨てて「正しいダルマ」を身につけることが大切だと「鳥の仏教」は説いている。


「友達になれても、
必ず別れがやってくるのですから、
こだわりを捨て去ることが重要ですp.61」「生命の終わりには、
家族や友達との絆も切れていってしまいますから、
今のうちに執着を絶っておくことが大事です。
p.78」

友情や家族の愛でさえ、
本質的なものではなく、
執着を捨てなければならない。


それでは、
友情や家族の愛さえも上まわる「正しいダルマ」とは何か？

この物語の中にはそれが明確に示されていないのだが、
数々の鳥たちがさえずる具体的かつ多種・多量に列記されている「欲望に根ざした悪行」から身を遠ざけることが「正しいダルマ」なのだろう。


仏教の本質は「執着を捨て去ること」でありその中には「愛に執着しない」ことも含まれる。

この点は「神は人を愛するとともに、
ねたむ」とし、
全ての出発点を「神の愛」において「あなた方は互いに愛し愛なさい」という教えを最も大切なものするキリスト教と正反対である。