サライの高野・吉野・熊野―聖地巡礼、見所、美味・宿まで「完全案内」 (サライムック) の感想

　高野・吉野・熊野と「野」が付くのが共通して「山」である。どの一つも独立して、歴史を深く刻み包んで霊山である。世界遺産として日本の自負するに値する魅力を奥深く蔵して限りない南紀。その一つ一つを居ながらにして味わえるのが本書である。

　弘法大師が開いた、深山の聖地・高野山金剛峰寺、最古の多宝塔根本大塔、優美な御影堂、神秘な奥の院。高野山巡礼の旅で「観る・泊まる・味わう」関係のガイドも収載している。

　　

　３万本の桜と祈りが織りなす絶景吉野山。日本固有の宗教・修験道が今も息づく。下千本〜金峯寺。中千本周辺。上千本〜奥千本。混雑を避けて快適に歩くための吉野山便利帖も載せている。

　海と山の国熊野三山。日本の源がここにある。熊野本宮大社・速玉大社・那智大社の三山。熊野三山に向かって「古道を歩く」中辺路、雲取越え、大辺路、伊勢路の道々の周辺の趣が紹介されている。　

　南紀の聖地巡礼。誰しもその魅力を感じながら、行く機会に恵まれていない人も多いであろう。そのような人にビジュアルな本書は、空想的ではあれ、行った気にさせられる魅力を湛えている。