フィールズ賞で見る現代数学 (ちくま学芸文庫) の感想

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参照データ

タイトルフィールズ賞で見る現代数学 (ちくま学芸文庫)
発売日販売日未定
製作者マイケル モナスティルスキー
販売元筑摩書房
JANコード9784480095435
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購入者の感想

 本書を手に取った方には、いきなり個々の業績紹介から読み始めるのでは無く、最初にフリーマン・ダイソンによる序文から読むことをお勧めしたい。そこには本書の楽しみ方が書いてある。曰く「モナスティルスキー氏がみせてくれるのは、フィールズ賞を便利な一里塚とした数学の世界への、言わば道路地図である。」「本書の正しい使い方は、本当に理解しようとしている部分にたどり着くまでは、よくわからないことを軽く飛ばし読みすることである。」そうは言っても、全く予備知識の無い方々が”現代数学はどのようなものか?”と思って本書を手に取っても「唯一理解できることは、誰かが何かを証明したことだけ」ということになる可能性が高い。何しろ本文200頁足らず文庫本で、48名に及ぶフィールズ賞受賞者の業績を語ろうと言うのだから。それでも本書を読んで、何やら面白そうなので知識を付けてこの人の仕事を理解したい、と思う読者(特に中学生・高校生)が多く現れて欲しいと思う。(ただ、本書は道路地図としては至って限定されたものであり、数学の世界にはこの地図に記載されていない大都市や肥沃な大地、或いは未開の荒野や急峻を極める山脈等が至る所に存在している、という事は言い添えておきたい。)

 著者は1945年ロシア生まれの数学者(数理物理学者?)で、本書のプロローグが1970年代にフィールズ賞を受賞した2名のロシア人数学者にまつわる些か不愉快な話から始まっていることからも判るように、旧ソ連時代の不合理やユダヤ人差別、或いはソ連の崩壊に伴う自国の混乱を目の当たりにした世代なのである。それゆえ、本書の端々に旧体制への憎悪、それとうらはらな自国の数学への強い誇りがにじみ出ているのを見ることが出来る。ロシア人受賞者の業績紹介は力が入っていて読み応えがあるが、著者の専門が幾何学系(位相幾何と微分幾何、その為本書の業績紹介の中で一番長いのはアティヤーだったりする)なためか専門外の分野の場合は記述がアッサリし過ぎていたり不正確なところがある。そこは巻末の参考文献を頼りに補足してゆけばよいだろう(コーエンの業績に係る集合論の参考文献が一つだけというのは頂けないが…)。

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