土の城指南 の感想

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参照データ

タイトル土の城指南
発売日販売日未定
製作者西股 総生
販売元学研パブリッシング
JANコード9784054060388
カテゴリ » ジャンル別 » 歴史・地理 » 考古学

購入者の感想

歴史の本と思って読むと内容のギャップでびっくり。まさか城跡めぐりのための靴選びまで書かれているとは。著者自ら述べているように私小説的に研究のスタンスや縄張りを描く楽しさまで赤裸々に描かれている。まあ前半の城の用語説明は図版も豊富で分かりやすいが、あくまで主軸は著者の人柄を含めて楽しむ本だと思う。意外と面白かったです。

「戦国の軍隊」「『城取り』の軍事学」に続く著者第三の戦国論。

本書は前著「『城取り』の軍事学」の姉妹編といってよい。
前著が、城を築いた人々の側に立って、「城とは何か」を考えるいわば「理論編」であったのに対して、
本書はいま現在、城跡を歩くわれわれの立場から、城(特に土造りの中世の城)を徹底的に見つめなおすための一冊である。
いわば「実践(戦)編」、といってよい。(本書はしがきより抜粋)

城歩きや縄張りの読み方、果ては保存と復元の仕方に至るまで、
現状の「通説」を次々に打破し、持論を展開するのはこれまでの作品と同じ。
批判は痛烈だが、あくまで理論的に反論を展開しているため、嫌な気分にならず読み進められる。

第一章 城歩きの楽しみ―足の裏から感じる戦国史―
第二章 実戦・城郭用語要解―城のパーツを理解しよう―
第三章 城を歩くための準備と基礎知識―頭に入れておくべきこと―
第四章 城の遺構はこう見る―研究者の極意、伝授します―
第五章 縄張りと占地を読む―無限の個性を楽しむために―
第六章 城とどう付き合うか―保存と復元のあり方を考える―
第七章 より深みにはまりたい人のために―趣味と研究のはざま―

本書の目次は上記の通り。後半に向けてマニアック度が増していき、
最終節では研究者に宛てたかのような話になっている。

本全体の敷居はけして高くないが、やはり城めぐりを趣味・生業とする人向けであろう。

全国に城は万とあった。しかしそのほとんどは、近年作られたコンクリート製の天守閣を持ったもののイメージとは程遠い。消失したり、自然に埋もれたり、看板が立っているだけだったりしているものもたくさんある。本書は、縄張りを中心にそうした城跡の見方を説き、本来の城とはどういうものかについて、具体例を挙げながら著者の見解を書いた本である。同じ著者の「城取りの軍事学」という本の続編に当たるが、そちらを読んでいなくても城についての基礎知識があれば理解はできる。

縄張り。虎口。様々な堀。街道からの位置。曲輪。発掘現場。情報の集め方。基本的に城の多くは、あくまでも戦いに備えてつくられたものであって、領主がいてお姫様が居て城下町が広がっているというものでは必ずしもない。いくつかの注意点を挙げながら、現地を歩いて観察してみる大切さについても説いている。終盤では、整備されたり、再建された城に、おかしな間違いが多いことを指摘し、なぜそのようなことになってしまうのか、また考古学者や歴史学者の軍事知識の無さを嘆いていたりする。いろいろな城跡をめぐって縄張り図を描いてきた立場から、定説にとらわれずに持論を披露しているところもある。

個人的にはあまり違和感は無く、面白く読めた。ただし、基本的に城についてのマニアックな領域に踏み込んだものを読みたい人向けの本である。

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