集団的自衛権と安全保障 (岩波新書) の感想

アマゾンで購入する

参照データ

タイトル集団的自衛権と安全保障 (岩波新書)
発売日販売日未定
製作者豊下 楢彦
販売元岩波書店
JANコード9784004314912
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 軍事 » 軍事入門

購入者の感想

shuudanntekijieikenn

安倍首相は荒唐無稽な例を出し、何としても「集団的自衛権」を、アメリカのために行使できるようにしたいようだが、それは何を意味するかをしっかりとつかんでおく必要がある。

集団的自衛権の容認が、いかに本来の安全保障(本書に解説有り)とは真逆の結果をもたらすことになりうるということが、よくわかる本。

日本が現状のように日米地位協定の見直し等もないまま、集団的自衛権を行使することは、とりもなおさず、アメリカの他国への武力介入の一端を担うことを意味する。

本書でも触れているが、アジア近隣との紛争が発生し、日本がアメリカと共同で作戦にあたっているが、アメリカが議会の承認が得られなかったという理由で突如撤退した場合、日本は徹底的に反撃を受けることになるのではないかと強く危惧する。

日本に本当にアメリカの従属国では無く、独立国家だという自負があれば、日本の平和国家としてのソフト面での役割はアメリカのためにも世界のためにも担うべきところはたくさんあるはずだし、何故、政府はそういった役割を前面に出さないのか、非常に腹立たしく思う。

論理破綻の話を前提に、憲法の新解釈を行うなどの行為が出来る政府にどうして、真の安全保障が実現できるものか、非常に暗澹たる気分になってしまったが、微力でも声を上げつづけないとと感じる。

日々の生活に追われ、今日本を取り巻く状況について無知、無関心な30代、40代の方が非常に多いと感じる。
しかし、それでいいのだろうか。
政治家におまかせしていれば日本は正しい方向に進んでいくのだろうか。

歴史的な記者会見において、安倍首相が現実的に全くありえない架空のシナリオを持ち出し、さらに「情感」に訴えるという手段をとったことを著者は『国民を欺くトリック』と言い切っている。
この本では安倍政権の言動の支離滅裂さを徹底追及しつつ、イラク戦争の総括の欠如、尖閣問題、憲法改正案などを論じ、最後はこれから国際社会で日本が果たす役割を提言している。

私は尖閣の2島に米軍基地が存在することをこの本を読むまで知らなかった。
物事を論じるには、正しい歴史認識と事実確認が必要である。
「情感」に訴える話法で国民を欺く安倍首相。
故意に欺いているのか、それとも無知なのか。

私たち一人一人は、もっと政治のこと、世の中のことについてアンテナを立てていなければこの国は間違った方向に進んでしまうであろう。
無知であることは、罪深いのだ。

 豊下さんの本は歴史的事実と条約や文献そのものに丁寧にあたって結論を出す。『昭和天皇・マッカーサー会見』は出色の出来で、昭和天皇と吉田茂の2重外交の実態などを明らかにしてくれた。

 この本も歴史的経緯や条約にあたって至極常識的な議論をしている。尖閣問題などで感情的に吹き上がる前にこの本に書いてある事実や国際的な常識くらいおさえて欲しいと思う。特にわらわれの年代以上の人々のネットでの発言があまりに条約や歴史的事実を知らないことに愕然とすることがある。ネトウヨ、じじウヨは感情的に「毅然とした態度」をとる前に読んで欲しい。事実を知らない「愛国的態度」は逆に国益を損ない、日本の立場を悪くすることを認識して欲しいと思う。

 まず安倍首相が解釈会見で出した朝鮮半島有事の事例は完全に嘘であることから議論が始まる。米国が毎年韓国で行う訓練「非戦闘員救出作戦」の公式文章にあたり、非戦闘員には邦人が含まれていないことを明確にする。半世紀以上自民党自らが違憲としてきた集団的自衛権を行使するという歴史的な会見において嘘の事例を使う深刻な事態であることを説明する。

 このような事態至った原因のひとつを湾岸戦争のトラウマから説おこす。オランダ、イギリスや当事者のアメリカさえも湾岸戦争後調査委員会を設けて、徹底的な解明を行った。しかし小泉内閣のときに欺瞞を重ねて派兵したことによる誤魔化しを持っている日本はみずから国会などによる検証作業を行うことも出来なかったし、しなかった。「非戦闘地域とは自衛隊が行くところである、自衛隊が行くところが非戦闘地域である」というトートロジーのごまかしによって自衛隊をなし崩しに派遣したことが今になって大きなつけとなっている。まずホルムズ海峡の近海に公海は存在しない。湾岸戦争時に機雷除去のために自衛隊が行ったところは他人の領土であり、十分戦闘行為とみなされる。そのあたりですでになし崩し的に集団的自衛権は国民の知らないところで行使されているのである。

阿部政権が集団的自衛権容認の閣議決定の根拠がいかにいい加減で自分勝手なものかよく分かった。一人でも多くの人にこの本を読んで欲しい。

あなたの感想と評価

コメント欄

関連商品の価格と中古

集団的自衛権と安全保障 (岩波新書)

アマゾンで購入する
岩波書店から発売された豊下 楢彦の集団的自衛権と安全保障 (岩波新書)(JAN:9784004314912)の感想と評価
2017 - copyright© みんこみゅ - アマゾン商品の感想と評価 all rights reserved.