このムダな努力をやめなさい: 「偽善者」になるな、「偽悪者」になれ (知的生きかた文庫) の感想

日本では強調され過ぎている「ガンバリズム」を疑い、それに対する著者の回答のような

内容の本だと思いました。例えば、自分の娘はハードワークが求められる企業に勤務しており、

上司のパハワラ的理不尽や、休みのゴルフ接待にも精神的に潰れることなく、

笑い話として話をしてくれるとあります。娘はそんな環境に向いているんだろうなとありました。

向いてない事に執着しても、本人や周囲も

いろんな意味で辛い（≒無駄）し、人生を浪費するともありました。

例えば、英語なんて仕事で使わないのなら勉強する必要がないともありました。

私の兄は海外勤務が長く英語や他言語にも長けていますが、曰く「ビジネスマンで、

英語を売りにしている奴ほど醜悪なやつはいない」といっていました。

真に重要な局面においては「通訳をつけたらおしまいや」。これですからね。

だから筆者の伝えたいことは理解できるような気がしました。これは身近な人間の言葉も

手伝っています。

筆者は徹底的な実利主義？合理主義者？なんだと思います。その姿勢が人間関係にも向けられます。

何も得られない（楽しくないも含めて）人と付き合っても時間の無駄だともあります。

他にも色々とクールです。確かに根性や努力で報われることもありますが、人生の半分を折り返す時期に

なって思うには、確かにそうだなと思う箇所が多かったです。例えば、私はＩＴ業界の

国家資格に執着し結果的には合格しました。半年みっちり勉強し、電車での移動中

雪のため立ち往生し、普通なら１０時間ほど無駄になるところでしたが、それ幸いに

車中で終始勉強していました。雪？着かない？知るか！みたいな。もしかしたら

単にその資格の内容が好きだったのかもしれません。だから、あれは努力なのか？

筆者は嫌いな努力はするなとはっきり言っている。当初技術者である自分には抵抗のある提言だった。
アマゾンの口コミランキングに1をつけてやろうかというほど、努力するなという言葉は技術者など、長年に渡り技術の研鑽を必要とする人間の蓄積を踏みにじるかのようにも聞こえたからだ。ところがだ。
次の日会社に行ってルーチン的な確認事項の手を試しに抜いた。どうせミスがあったら回帰テストで後ほど引っかかるので多少手を抜いてもまあ心配は無い。若干きれいさにかけるがそこを諦めた。これでかなりの時間が稼げた。あれっという感じで次から次へと抜けるところは抜き、やるべきところはしっかりやったら時間が今までの3分の2ほどで済んだ。すごい。氏はこのことを指していたのだと気づいた。またとにかくたくさん遊べといっていたので、同僚を誘ってゴルフに行き、焼肉を食べに行った。楽しかったし、上司や同僚と色々な話をできる貴重な時間が過ごせた。4にしたのは、そうはいっても技術習得など時として苦労してしなくてはならない努力もあってそこは個人的には必要だと思う。ただし、筆者の言葉を忘れたくはなく、限りある時間を有効に使うため無用な努力はしてはならないと今では強く感じている。