私を通りすぎた政治家たち の感想

アマゾンで購入する

参照データ

タイトル私を通りすぎた政治家たち
発売日販売日未定
製作者佐々 淳行
販売元文藝春秋
JANコード9784163901138
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治入門

購入者の感想

政治家を、権力意志を持つ者(本物の政治家、ステーツマン)と、権力欲を持つ者(政治屋、ポリティシャン)とに明確に区別して実名で記載し、その具体的根拠を述べている。マスコミによって作られてきたイメージと大きく異なる評価を受けた政治家もいる。

仕事柄、政治家たちとは長年付き合ったが自身は政治家ではないという、適度の距離から観察できる立場から述べたもので、歯に衣着せぬ物言いであるが、密告の陰湿さや、自分は秘密を知っているんだという小賢しさには無縁である。しかし、佐々氏も人の子、主観の入る部分もあるようだ。

著者の政治家評価のポイントは3つと考えられる。
1.物事に対する考えや姿勢が一貫しているか。転向を最も軽蔑する。
2.自分の利益や保身よりも、国民の保護や国の利益を優先するか。
3.著者自身を評価してくれたか、それとも理不尽に扱ったか。

ステーツマンとされた政治家の例は、吉田茂、岸信介、佐藤栄作、後藤田正晴、中曽根康弘、上田耕一郎、不破哲三、石原慎太郎、扇千景、小渕恵三、小泉純一郎、安倍晋三など(敬称略)。ただし小泉は晩節を汚したと評価する。

ポリティシャンは、福田赳夫、三木武夫、田中角栄、海部俊樹、石井一、亀井静香、河野洋平、加藤紘一、小沢一郎、菅直人など。とくに著者の次官昇進を個人的な感情を理由に理不尽に妨害したとされる加藤紘一についてはボロクソである。マスコミに人気のあった“クリーン”三木武夫も厳しく批判している。鳩山由紀夫に至っては、ほとんど相手にしていない。コメントに値しないということだろうか。

戦後政治史の通観とは言わないが、政治にそれほど興味のない人にも面白く読める。文庫本の2倍の価格も高く感じられない。

佐々淳行氏による、明治から平成までの日本を代表した政治家・官僚たちの評伝集。自身の祖父の佐々友房から小泉
進次郎までを網羅し、独自の観点から評していく。例えば若き日の佐々氏が吉田茂に対して語気鋭く改憲を迫ると、吉
田からは実に明確な返事が返ってきたという。
  「今は経済再建が第一である。経済力が復活しなくて再軍備も何もあり得ない。経済力がつくまで
   の間は日米安保条約でもってアメリカに守ってもらうのだ」(48ページ)「経済力がついたら憲法改
   正して自衛軍にするのだ。それまでの間は身を潜めていなくてはいかん」(49ページ)
当時の状況を考えるとこれがベターな選択であったろう。この返事に納得した佐々氏は安保条約支持派になったそうだ。

岸信介・佐藤栄作兄弟、田中角栄、中曽根康弘、竹下登、小泉純一郎といった歴代首相、佐々氏が人生の師とあおぐ後藤
田正晴、盟友石原慎太郎、論敵だが憎めない存在だったという上田耕一郎・不破哲三兄弟など、政界の大立者たちの興味
深いエピソードが数多く紹介されている。例えば、佐々氏が尊敬してやまない後藤田正晴は中曽根・竹下両首相を評してこう
言ったという。
   「政界でも男女間でも、人間関係を繋ぐ力は三つある。『尊敬』と『愛情』と『金』だ。中曽根は『尊敬』で
    人心を掌握している。竹下は見識なるものはコレッポッチもない。『金』の力に頼るが、心配りはたい
    したものだ。人心掌握は達人で根回しの名人だ。中曽根と違って、彼が何か言い出した時は、もう八
    割方出来上がっている。尊敬はされていないが、好かれている」(142ページ)

佐々氏が「国益を損なう政治家たち」として批判のヤリ玉にあげているのは田中角栄・三木武夫・石井一・加藤紘一・河野洋平
・小沢一郎などである。特に加藤紘一に対しては防衛庁長官時代のエピソードについて詳細に紹介し、その軽薄で傲慢なスノ
ッブぶりを容赦なく批判している。小沢一郎については官房副長官時代の傍若無人な振る舞いの数々を紹介し、「トラブルメー

あなたの感想と評価

コメント欄

関連商品の価格と中古

私を通りすぎた政治家たち

アマゾンで購入する
文藝春秋から発売された佐々 淳行の私を通りすぎた政治家たち(JAN:9784163901138)の感想と評価
2017 - copyright© みんこみゅ - アマゾン商品の感想と評価 all rights reserved.