科学哲学の冒険―サイエンスの目的と方法をさぐる (NHKブックス) の感想

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参照データ

タイトル科学哲学の冒険―サイエンスの目的と方法をさぐる (NHKブックス)
発売日販売日未定
製作者戸田山 和久
販売元日本放送出版協会
JANコード9784140910221
カテゴリ » ジャンル別 » 科学・テクノロジー » 科学読み物

購入者の感想

科学哲学って高度に専門的で、正直難しい。けど、20世紀、現代思想の重要な駆動力のひとつとしてかなり派手な役回りを担った分野でもあると思う。
僕はかつて「科学的であるとは誤りであることが証明可能なことだ」という実に鮮やかなカール・ポパーの議論にすっかり感心してしまったものです。うまい!と膝を打ちましたね。
科学の実際の歴史はポパーの見方のとおりには動いていないとするクーンのこれまた衝撃的な「科学的認識は反証よりも科学者の属するパラダイムの維持を最優先する」という議論も深く考えさせる力がありました。ここから反クーンの科学哲学の本流と、クーンを奉じて勢いづく社会学的な科学論(社会構成主義)との長い戦いが始まるわけですが…
本書はその科学哲学本流の議論の推移と核心をリカちゃんとテツオくんとセンセイの三人の対話形式で鮮やかに教えてくれる本。異常に飲み込みが早い二人の生徒の頭の回転がちと非現実的な気もしますが、三人の会話を丁寧に追えばそれだけでいつのまにか、古くはヘンペルの「仮説-演繹モデル」から最新の「意味論的モデル」までの科学理論の本質をめぐる終わりなき(?)議論の全体像をすっかり理解できた気になること請け合いです。
社会学に慣れると、社会構成主義ってものすごくリアルに感じられてしまうものなので、戸田山氏が本書の一部を割くアンチ構成主義の議論にはちょっと異議を差し挟みたくはなりましたし、しかも構成主義のバイブル『科学が作られているとき』をラトゥールとウールガーの共著と勘違いしておられるし(二人の共著は『実験室生活』です)文句なしではないんですが、それはともかく分かりやすさ抜群であることに一切異論はござりませぬ。

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