英語の発想・日本語の発想 (NHKブックス) の感想
参照データ
タイトル | 英語の発想・日本語の発想 (NHKブックス) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 外山 滋比古 |
販売元 | 日本放送出版協会 |
JANコード | 9784140016541 |
カテゴリ | » 本 » ジャンル別 » 社会・政治 |
購入者の感想
1989〜1991年度のNHKラジオ「英語会話」テキストに連載されていた、英語と日本語との違いにまつわるエッセイ36篇に、他の媒体で発表されたエッセイ6篇を加えて1冊にまとめた、語学エッセイ。
英語と日本語では言語として様々な性質が異なることは自明である。しかし、これをただ単に異なっているとばかり見るのではなく、異なり方に構造が見て取れれば有益である。英語を専門とする日本語ネイティブスピーカーとして著者は、英語と日本語の言語としての基礎的な違い(例えば、英語の構造の中心には名詞があり、日本語の構造の中心には動詞がある、等)が他の様々な違い(英語の名詞には動詞的なニュアンスが取り込まれていて、日本語の動詞には行為の主体が取り込まれている、等)に派生していく様を平易な言葉で日本語話者に示してくれる。
正直、タイトルから想像した内容と若干開きがあった。英語表現と日本語表現の根底に潜む発想の違いを体系的に論じた本ではなく、比較的目に留まりやすいちょっとした違いについてのアイデアを膨らませて書いた軽いエッセイ。各トピック3〜4ページと文章は短くリズム良く読み進んでいけるが、逆に言うと、その程度の紙数で述べられる程度のことしか述べられていないとも言え、議論が1冊の本として深まっていかないのが残念。
私としてはむしろ、わずか20年前に書かれた本の中の「日本語感覚」が現在の私自身の「日本語感覚」と大きく異なっていることに驚いた。本書の中で「いかにも翻訳調で、これでは日本語になっていない」とされている日本語文の多くが、私にとって全く違和感をおぼえないようなものであったのだ。もともとは英語についての本を読みたくて本書を読み始めたのに、読み終わった頃には「現代日本語の成立と変遷」に興味が出てきてしまった。
英語と日本語では言語として様々な性質が異なることは自明である。しかし、これをただ単に異なっているとばかり見るのではなく、異なり方に構造が見て取れれば有益である。英語を専門とする日本語ネイティブスピーカーとして著者は、英語と日本語の言語としての基礎的な違い(例えば、英語の構造の中心には名詞があり、日本語の構造の中心には動詞がある、等)が他の様々な違い(英語の名詞には動詞的なニュアンスが取り込まれていて、日本語の動詞には行為の主体が取り込まれている、等)に派生していく様を平易な言葉で日本語話者に示してくれる。
正直、タイトルから想像した内容と若干開きがあった。英語表現と日本語表現の根底に潜む発想の違いを体系的に論じた本ではなく、比較的目に留まりやすいちょっとした違いについてのアイデアを膨らませて書いた軽いエッセイ。各トピック3〜4ページと文章は短くリズム良く読み進んでいけるが、逆に言うと、その程度の紙数で述べられる程度のことしか述べられていないとも言え、議論が1冊の本として深まっていかないのが残念。
私としてはむしろ、わずか20年前に書かれた本の中の「日本語感覚」が現在の私自身の「日本語感覚」と大きく異なっていることに驚いた。本書の中で「いかにも翻訳調で、これでは日本語になっていない」とされている日本語文の多くが、私にとって全く違和感をおぼえないようなものであったのだ。もともとは英語についての本を読みたくて本書を読み始めたのに、読み終わった頃には「現代日本語の成立と変遷」に興味が出てきてしまった。