老師と少年 (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトル老師と少年 (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者南 直哉
販売元新潮社
JANコード9784101304816
カテゴリ人文・思想 » 宗教 » 仏教 » 仏教入門

購入者の感想

難しい仏教用語は一切出てきません。しかし、言葉に意味することがなんなのか、
良く吟味して読んでいかないと、妙な誤解をしてしまう、と思います。
この本は、なにも信じる事ができない人が読む本です。

自分の価値は?、人生の意味は?、なんのために生きているのか?

「自分は世界で一人しかいない貴重な存在」
「人生は生きているだけですばらしい」
「人はそれぞれ、何かの目的を持って生まれてきたのだ」

ふざけんな!!! 綺麗なだけの薄っぺらい言葉はやめろ!!!

そう叫んだ事のある人には、是非読んでもらいたい。
上記の言葉で納得できる人は読まなくていいです。

この本を読もうか、読むまいか迷っていて、
ここの真面目なレビューを読んでますます困ってしまった方、
師のブログ「恐山あれこれ日記」を訪ねてみてはいかがでしょう?

バックナンバー2006年10月にはこの本を上梓したときのことなどが出てきます。
けれどもそこではなく、そこからさらに下の方、
師と寺に遊びにきた子どもとのやり取りが見つかるでしょうか。
わずか9行のやり取りなのですが、
たぶん、この本で問われていることと同じことが書いてあります。
(ネタバレにはならないから、大丈夫。)

まだこの本を読んでいない方には一つのきっかけとして、
またすでに読んでしまった方には一つの演習問題として、
是非このやり取りを探して読んでみることをお薦めします。

この本を読む前と読んだ後で、
このやり取りに対する受けとめ方が
いくらかでも変わってきた感じがあれば、
この本の最後の行の理解に少し近づけられた感触も
得られるのではないでしょうか。

まあ、そうは言っても私自身はいまだに
「座禅の意味より寝ない工夫だ」
というレベルに留まっているのですが。

最後の文「生きる意味より死なない工夫だ」というところで、このことを守りぬいて生を全うしていくのは、本来すべての生物がそうしていると思う、すべて意味を探り求めたがる人間の疑惑や迷いがある場合以外は。 真実にはそもそも、生きる意味など無いし、仏教的表現だと、縁起と因果の法ですべては互いに絡み合いながら発生し、現象化・常時変化し、そしていつしか消滅していく。 一見、そこにあり、そこに見えるけど、実体はすべてつかめない。 全ては変化し、移り行くものだから。。。生命体は生存欲で個体を無限に維持しようとする機能を持ち、それでも当然いつかは消滅が来るため生殖活動というその個体維持の本能とい機能で次の個体へつないでゆく。そこには発生したものは永遠に保持しようとする作用だけがあり、それが出来る限り死闘続ける生命すべてのあり方であり、真実である。 人間特有の自殺も本来は、生きていたいという生存欲そのもの裏返しであり、どうでもよければ決して苦悩もしないし自殺もしたりしない。 たまに動物の自滅ともいうべき集団自殺がみられることがあるが、その場合個体生存欲本能より、増え過ぎて絶滅する事を防ぐ為の同種集団生存バランス作用が大きく機能した特殊な種の生存欲だと思われる。人間は、生きる為に、目標を持ち、探り求め続けるのだが、目標や希望にやがて取り付かれ、常に不変で絶対なるものをそれでも人生に探り求めるため、何も見いだせず、何ものをも心の中に受け入れる事ができなくなる。探り求めるのではなく、心を開いて特定の概念や思念・意味にすぎない目標など持たず、今、目の前にあるいろいろなものをあるがままに受け入れ、心自由(すべてに囚われない事)でさえあれば、ただ生を喜び全うする生き方であり、全ての生命体の行う死なない工夫と同じ事といえよう。そうした悟りを知る人間と唯一他の生命体とが違うのは、生は死と表裏一体である事をその人間は正に認識し、体感しているから、決して生死に対してあがく事はない。その生が終わりを迎えるまで、ただあるがままに生を楽しみ、全うする事が出来よう。特に瞑想にある時も無い時も、禅の三昧の境地にまで到達した人間であればだが...。読み終えても、いろいろと考えさせられ、奥が深い本だ。 もっともこの読書後の続きの考えは私の冥捜というより、私の迷走の思い込みかも知れない・・・

何故、なんのために生きているのか?
この問題について、小さい頃からおそらく100回は自問自答していると思う。
本を読んで、人に教えられて疑問が解決するわけではない。結局自分で「ひらめいて」得た答えでなければ自分のなかに根を下ろすことがないから。言葉の根っこの部分まで完全に他人の言葉を理解することなんてできないから。
だから、この本にでてくる問いはとても知りたいことばかりで夢中になって読むことができたのだけど、読み終わった後で「わかった!」「納得できた!」という爽快感を得る事はできなかった。
けれども、本にでてくるフレーズがヒントになって、自分のなかで一歩答えに近づいた、という実感を持つ事ができた。

もう一度読み返せば、またさらに答えに近づくヒントが得られると思う。
そうやって何度も読み返して、自分にしみ込ませたいと思わせる本でした。

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