最後のイタコ の感想

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参照データ

タイトル最後のイタコ
発売日販売日未定
製作者松田 広子
販売元扶桑社
JANコード9784594068592
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 文化人類学・民俗学 » 民間信仰・俗信

購入者の感想

最初は、興味本位で手に取った本だった。正直、ちょっと怖くて、どこかうさんくさいところがあるかもしれない、という程度のイメージしか持っていなかった。しかし、最後は襟を正して読んでいた。恐山の口寄せで有名な南部イタコについて、実際のイタコの1人が説明している本。

八戸の豊かな自然と信仰心に支えられて250年の伝統を有してきたこの南部イタコは、今や10名足らず。それも、高齢の方を含んでの数なので、活動しているのはもっと少ないという。著者はその中では一番若く、といっても20年の経験があるのだが、後継者のいない現在の状態が今後も続けは最後のイタコになる可能性があるという。適時、郷土史家による解説が加えてある。

元々この地方では、イタコは目が不自由な女性が生きる糧を得るための生業として受け継がれてきたらしい。著者の場合はそのような障害があるわけではないが、小さい頃に身体が弱かったためにイタコのお祓いをうけることが多かったそうで、それがこの道を選んだきっかけになったようだ。主な仕事は以下の4つ。口寄せとお祓いには経文を、神事には祭文を唱えるのだという。イタコになるための厳しい稽古の大半は、それらを覚えるのに費やされる。
・亡き人の霊を降ろす口寄せ
・心身の不調や家庭内のトラブルを祓うお祓い
・オシラ様(東北に伝わる家の守り神)遊ばせなどの神事
・占い

「世の中を見渡してみれば、納得のいく別れができるケースはごく稀です」とあるように、大切な人を亡くした悲しみや後悔は、簡単に埋められるものではない。安易に他人に相談できないような悩みを抱えて苦しんでいる人もたくさんいる。時代は変わって科学も進歩しているにもかかわらず、恐山にできる相談者の行列は絶えることがなく、イタコの数が減るに従って待ち時間も長くなっているという。中には、非科学的だと批判しに来たり、興味本位の質問をしてくる人もいるようだ。著者はそれらに対して、自分には科学的なことは分からないと冷静に受け止める一方で、本当にイタコを必要として訪れる相談者に対して日々真摯に向かい合っている様子がひしひしと伝わってくる。

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