きのう何食べた?(9) (モーニング KC) の感想

２人の淡々とした穏やかな日常と食生活の物語も９巻目。
１話１話のストーリーの巧みさは今さら言うまでもなく、ほんと、よしなが先生の職人芸ですね。

今回は静かな展開ながら、とてもドラマティックな巻だと思いました。
７巻のケンジのシロさんご実家訪問、８巻のお詫び京都旅行ときて、
…そうかあ。そうくるか、という感じ。

ネタばれになるので詳しくは伏せますが、
シロさんが、ご両親にひとつの決心を伝えるシーンがあります。
皆がお互いを思い、歩み寄ろうとしていて、でもままならないことがあって、その中でシロさんが選んだ形。
その後、シロさんがケンジに言った言葉が、今巻で１番心に響きました。
お前と俺で。それがすべての答えなのではないかな。
指輪よりも、ずっとずっと大事なものをもらえたねケンジ、と思いました。

時折、人生の苦味を感じさせるエピソードが入りつつ、
いつものメンバーたちの様子が伺えるのも楽しいかぎり。
気のおけない友達カップルとのおうち宴会(佳代子さんかっこいい！)、
中年の年代でも会えば学生時代のノリに戻る同期会、
安定のタブチくんとジルベールのキャラ（笑）、
もちろん料理はどれもこれも美味しそうで、
一冊読み終えたあとのこの充実感！

物語としてはゆるやかな終幕への流れを感じつつ、
やはりずっとこの日常を見ていたい気になってしまう「なに食べ」ファンでした。