65歳定年制の罠 (ベスト新書) の感想

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書店の店頭でタイトルを見たときは、「罠」という字に強い印象を受け、読んでみるのが少々怖かった。虎鋏（ベアー・トラップ）の罠にかかってしまった動物のように、定年延長で再雇用されると取り返しのつかない人生が待っている、気をつけなければ大変なことになる、という内容かと思ったからです。
けれども、読み終えた後の感想は、案に相違して、さわやかなものでした。
お先真っ暗な老後を控えて、崖に突き落とすような「脅し」をかける本ではなく、残された人生のために、そっと背中を押してくれるような本でした。
再雇用も選択肢の一つ、と認めた上で、それ以外の道を模索する可能性を教えてくれました。
「６５までぶら下がっても、６５を過ぎたら必ず放り出されて一人になる」。
そう考えると、「いずれ一人になって社会に投げ出されるのなら、その準備は早いほうがいいかもしれない」と気づかせてくれました。