すごいジャズには理由(ワケ)がある──音楽学者とジャズ・ピアニストの対話 の感想

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タイトルすごいジャズには理由(ワケ)がある──音楽学者とジャズ・ピアニストの対話
発売日販売日未定
製作者岡田暁生
販売元アルテスパブリッシング
JANコード9784865590005
カテゴリジャンル別 » エンターテイメント » 音楽 » ジャズ

購入者の感想

これは音楽の基本教科書だ。

表向きの体裁は、ジャズ分野の書で、数人のジャズの巨人たちの演奏で、それぞれどんな点が傑出しているのかを示しているのだが、そのレベルが分析的で深い。
マイルス・デイヴィスの章では、チャーリー・パーカーとマイルスの比較から、「音程モティーフの展開(変奏)」というクラシックとジャズ共通のテーマにまで考察が及んでいる。
また、ポピュラー音楽における「自分の声」(オリジナリティ)とは何か、というテーマについても、本書を読み進めるにつれて読者は知らず知らずのうちに深く意識に刻まれる。

できれば本書の中で挙げられている録音音源を聞きながら読み進めるのが望ましいが、YouTubeで視聴可能な素材も挙げられているので、自分のライブラリーにジャズのCDをあまり持たない読者でも、間違いなく楽しめるだろう。

自分は楽器をやらないが、それでも本書の意義には感銘を受けた。自ら演奏を行う読者は、もっと感じるところがあるのではないだろうか。

 モダンジャズの巨匠…パーカー、マイルス、コルトレーン、エバンス、アート・テイタム、オーネット・コールマンの6人をピックアップし、彼らの音楽性と様々なエピソードについてジャズピアニストと音楽学者が対談するという内容です。

 よくあるエッセイ本・データ本な内容かと思って読み進めたら、楽理的に突っ込んだ解説がふんだんに現れます。ほんの一例ですが例えばパーカーの章では「Yardbird suite」のアドリブ譜の一部を載せ、音階と分散和音の上昇下降を組み合わせながら歌っている様子や、ターゲットノートの前後に焦らしてアプローチしつつ、ここぞというタイミングで解決させている歌い方などが譜例・楽理を交えて紹介され、音楽的個性の客観的分析が試みられています。他にもマイルスのモード奏法、コルトレーンチェンジ、エバンスのインタープレイ…まだあるのですが数々の分析・評論が紹介されており読み応えあります。と言っても理論書のようではなく、巨匠たちの音楽の深淵に触れるための入り口や脇道を案内してくれるような感じで、ジャズ評論本とはいえ著者がジャズの本質に精通した演奏家・教育者という点で出色の内容になっています。
 
 その他にも人物像、エピソード、人間関係等…博識な著者ならではの(そして少々の毒も含んだ)内容も満載。Youtubeでのデモ演奏(巻末で紹介)と本書が連動しているのも良いです。今回はギタリストは取り上げられませんでしたが、もし第二弾があれば期待したいです。

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アルテスパブリッシングから発売された岡田暁生のすごいジャズには理由(ワケ)がある──音楽学者とジャズ・ピアニストの対話(JAN:9784865590005)の感想と評価
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