西洋音楽史 「クラシック」の黄昏 (中公新書) の感想

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タイトル西洋音楽史 「クラシック」の黄昏 (中公新書)
発売日2014-07-11
製作者岡田暁生
販売元中央公論新社
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購入者の感想

著者はユーモアにあふれた筆致で、作曲家達の特徴を次のように表現しています。

荒野に叫ぶ預言者ーシェーンベルク
精緻な「パクリ」と「継ぎ接ぎ」ーストラヴィンスキー
バロックの異分子―バッハ
拳を振り上げる無作法―ベートーヴェン
はったりと物量作戦―リヒャルトシュトラウス
ダンディズムの美学―ラヴェル
ロマン派嫌いのアンファン・テリブル―プロコフィエフ
神なき時代の祈り―マーラー 等々。

本書の副題は「クラシックの黄昏」です。
クラシック音楽について様々な観点から考察されている中で、
クラシック音楽の発祥を中世の「グレゴリオ聖歌」まで遡り、宗教との関わりから描かれている部分が印象的だと思いました。
時代は下り神の自明性は薄れ続けます。
マーラーの音楽は、神への懐疑と希求の葛藤から生れたとする著者の説は非常に説得力があります。
「神なき時代の宗教的カタルシスの代用品としての音楽の洪水」
音楽は神なき時代の祈りなのかもしれません。

本書は全体の印象として、ユーモアのある文章がとても楽しいです。
著者の主観がよくわかる部分もあり、それについて著者は、
「歴史を語るとは、常に私と歴史との対話である。」
と言っています。

名著です。ぜひ、お薦めします。

ここ数年で読んだ新書の中ではベスト1の面白さでした。購入してすでに通しで3回読み返したくらいです。まえがきにもあるように、この本は巷に溢れる「名曲ガイド」ではありません。中世音楽のグレゴリオ聖歌からはじまり、ルネサンス、バロック、古典派、ロマン派、新古典派から20世紀の現代音楽にいたるまでの過程をその背後にある歴史的文脈を踏まえ、それらがいかにして誕生してきたか。非常に簡潔で読みやすく書かれています。一応初心者むけですが、ある程度のクラシックの知識があった方が読んでいて面白いと思います。個人的にはバロック以前の音楽にあまり興味がなかったのですが、この本を読み中世・ルネサンス期の音楽に興味を持ちCDも何枚か購入しました。そういう意味では僕にとって新たにクラシックを聴く楽しみを増やしてくれた本でもあります。

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