秘本三国志〈4〉 (中公文庫) の感想
参照データ
タイトル | 秘本三国志〈4〉 (中公文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 陳 舜臣 |
販売元 | 中央公論新社 |
JANコード | 9784122051737 |
カテゴリ | 本 » ジャンル別 » 文学・評論 » 歴史・時代小説 |
購入者の感想
1982年8月文春文庫から出版されたものの新訂中公文庫版。初め手に取ったときオビに『「三顧の礼」をもって、劉備は諸葛孔明を得た。』と書かれていたので、おお、早速感動の場面に出会えると思っていたら、なんと後半2ページ弱、しかも実際の三顧の礼の様子はほとんどといっていいほど書かれていない。「これが有名な三顧の礼である」だけじゃ、初心者はなぜ諸葛亮は会おうとしなかったのか、また劉備はなぜ会えなかったのかが解からない。そのくらい、今回は劉備側の動きがほとんど記されていない。劉備が造反したのが今までの劉備像を壊してくれて楽しかったりする。主に袁紹・袁術の対立が詳細に述べられているのは稀代ものである。また孫策の暴れん坊が亡くなり孫権が立つ。曹操は烏垣族を蹴散らす。1〜3巻まではほとんど無かったのであるが地図がかなり多く詳しく載せられているので情勢を把握するのにとても良かったと思う。ひとつ気にかかったのは五斗米道は「今を生きるにはどうしたら良いか」ということに思考が集中しているのに対して、仏教は「死後の世界観、また死に対する姿勢」があるという違いに関して陳氏の得意分野が吐露されているのに深く感銘を受けた。