アメリカ・メディア・ウォーズ ジャーナリズムの現在地 (講談社現代新書) の感想

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タイトルアメリカ・メディア・ウォーズ ジャーナリズムの現在地 (講談社現代新書)
発売日販売日未定
製作者大治 朋子
販売元講談社
JANコード9784062882279
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » マスメディア » ジャーナリズム

購入者の感想

「報道」という事業の採算が取れなくなりつつある。ネットで記事の無料化が進んでいることが大きい。アメリカではリーマンショック以降、中堅の新聞社がバタバタ廃刊している。生き残りのためにNYTを始め、多くの新聞社がリストラをしている。同時にネットの収益化、調査報道の外部委託など、これまでのニュース制作の手順を、土台から見直している。本書では「小さいことは悪くない」という言葉がたびたび出る。経営体力はないけど、既得権益やしがらみが少ないから、革新的な事業、行政の不正追及が自由にできる。アメリカの新聞は小回りが効くから、新しいことにも取り組みやすいということだ。

アイオワ州内9つの新聞による記事を共有するようになった。世論調査や情報公開請求も費用を分担し、共同でやっているという。AP通信がスポーツや国際報道に力を入れ、地域記事の配信を怠り、その上配信料が高いからだという。福島民報と福島民友が記事を共有するようなものだろうか。ライバル紙同士が飯のタネの記事を共有する。それも驚くが、アイオワに9つも新聞紙があることも驚く。09年段階で全米には1400紙がある。アメリカの地域紙はネットで追い込まれているが、強みもある。小さな町はネットに出ない。そんな町の新聞社は町の情報を独占できる。地域のスポーツ大会、訃報などは地元で読まれる記事だ。

最近、日本でもよく知られるようになったが、ネット専業のNPOによる調査報道も盛んだ。日本と違い、少なくとも、新聞社で記者のトレーニングを受けた人が多いのはもちろん、トップレベルのジャーナリストも移籍していることが大きい。上手くいっているNPOは、こうした記者が、資産家の寄付に支えられてることが大きい。

当事者へのインタビューも交え、米国の報道改革の要点がわかりやすく書かれている。ただ惜しいのが大半の取材が3年以上前ということ。時機を逸したわけではないが、トピックス自体は、日本でも知られているものが多いような気がした。書籍化に伴い、フォローはされているが、3、4年が経ち、取り上げられた新聞社は今、どうなっているんだろうと感じた。

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