新装版 合本 公害原論 の感想

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参照データ

タイトル新装版 合本 公害原論
発売日販売日未定
製作者宇井 純
販売元亜紀書房
JANコード9784750506180
カテゴリジャンル別 » 科学・テクノロジー » 地球科学・エコロジー » 産業廃棄物・公害

購入者の感想

 著者のことをはじめて知ったのは、確か学生時代。学園祭での著者の講演参加を呼びかけるビラであったように記憶している。東京大学助手として公害の自主講座を十数年開講し、後に沖縄大学教授。反権力として闘っている人なのだろうという印象を受けたが、その後著者へ関心が向かうことはなく、気が付くと20年近くが過ぎていた。
 
 先日ふと目にした新聞で、宇沢弘文氏、柳田邦男氏等、錚々たる有識者の方々の推薦を受ける本書の広告が目に止まった。本書は著者の東大での自主講座の記録である「公害原論1、2、3」をまとめた新装版である。900貢にも及ぶ浩瀚の書であり活字も古く、一見すると読むことがためらわれるが、講義をそのまま起こした形で書かれており、外見とは裏腹にたいへん読みやすい。高度経済成長がもたらした公害は、その後著者の尽力もあり沈静化の道をたどったが、その一方で、利潤を追求するために消費者を軽視する企業の姿勢は公害とは異なる形で今なお根強く残っている。
 
 JRの脱線事故、そして相次ぐ薬害しかり。加害者が被害者の前で頭を下げるポーズをとってもそれは仕事の一環に過ぎず、寝ても醒めても痛みを忘れることができない被害者側とは到底同列に並べることはできない。組織の論理の中ではやはり被害者は単なる赤の他人でしかないのだ。
 
 著者は次のように述べている。
 
 「差別の中身はどういうものだ、と人に聞かれてこれぐらい話しにくいものはない。出来る 唯一の答えはお前と俺と場所を入れ替えようということしか出来ない。」
  
 「公害はやはり被害者から出発しなければならない。自分が病気にかかったらどうするか、 自分が公害にやられたらどうするか、そこから出発する。たえずそこへ引き戻す。」

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