日本の伝統 (知恵の森文庫) の感想

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参照データ

タイトル日本の伝統 (知恵の森文庫)
発売日販売日未定
製作者岡本 太郎
販売元光文社
JANコード9784334783563
カテゴリ »  » ジャンル別 » 文学・評論

購入者の感想

 同出版社から出ている『今日の芸術』の続編(各論)として書かれた本です。読み方は自由ですが、やはり前書を読まれてから本書を読まれたほうが理解がいいと思います。

 本書の目次は、「一・伝統とは創造である」「二・縄文土器」「三・光琳」「四・中世の庭」「五・伝統論の新しい展開」となっています。巻頭には太郎さんが撮影した縄文・弥生土器や本文中で言及されるいくつかの日本の庭の写真(モノクロ)が30ページにも亘って掲載されており、また巻末には岡本敏子さんの解説が付されています。本文中にも沢山の写真が挿入されていて親切です。
 本書は、非常に具体的なものに即して話が進むのでわかりやすいかと思いきや、芸術論として突っ込んだレベルの高い内容になっており、『今日の芸術』よりも難しく感じる方が多いと思います(私はそうでした)。しかし、太郎さんの確かな眼識が捉えなおす<日本芸術>論は非常に独特で新鮮であり、一読すれば必ずや<日本性><芸術の現代性>について何らかの刺激と示唆を受けることは間違いありません。

 フランスの画家ベルナール・ビュフェは「芸術は花と同じように人生に必要なものだ」と言いましたが、太郎さんの芸術論もそうした<芸術は人生の余技や趣味的なものではなく、もっと人間が人間らしく生きるために必要不可欠な実存的なものだ>という意識に基づいていていると強く感じます。<芸術は太陽のように皆のもの>という言葉にもそれは表れている。この認識は、所謂<人はパンのみにて生きるにあらず>という人間存在への鋭い洞察です。高い納税率によって生活の物質的な面が保障されている幸福度世界一のデンマークでさえも、自殺者の増加に悩んでいるという現実は、私達にこうした言葉の意味、その洞察の確かさを更に深く感じさせるものです。

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