族長の秋 ラテンアメリカの文学 (集英社文庫 カ) の感想
参照データ
タイトル | 族長の秋 ラテンアメリカの文学 (集英社文庫 カ) |
発売日 | 2011-04-20 |
製作者 | ガブリエル ガルシア=マルケス |
販売元 | 集英社 |
JANコード | 9784087606218 |
カテゴリ | ジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » スペイン文学 |
購入者の感想
この小説は、読み進めるごとに直前のページを忘れていく。読んでいる時は、その膨大なトピックスの数々がひとつずつ、その土地や人の匂いまでを克明に伝えていて圧倒的な生々しさで迫ってくるのに、それらはあっという間に読んだ端からどこかへ飛んでいく。
この小説には改行がない。
この小説では、『わたし』語りの一人称と神様視点の三人称が、一文ごとに混在することもあり、『わたし』とてそれは主人公である『大統領』でないこともある。
この小説の時間軸を直線で追うことはかなり難しい。
あらゆる時間がごった煮のように混ぜられていて、
それは時間の記憶が回顧という装置で混ぜ合わされる、
我々が夜に見る夢に似ている。
読み進めるごとに忘れていき、
時間も人も混沌としている中で、
『大統領』の不安げで虚ろな眼差しだけが、
鮮明さを増していく。
その炙り出された眼差しは、映画にも写真にも写らない、
文字で書かれた小説でしか抽出できない人間の姿であると感じます。
この小説には改行がない。
この小説では、『わたし』語りの一人称と神様視点の三人称が、一文ごとに混在することもあり、『わたし』とてそれは主人公である『大統領』でないこともある。
この小説の時間軸を直線で追うことはかなり難しい。
あらゆる時間がごった煮のように混ぜられていて、
それは時間の記憶が回顧という装置で混ぜ合わされる、
我々が夜に見る夢に似ている。
読み進めるごとに忘れていき、
時間も人も混沌としている中で、
『大統領』の不安げで虚ろな眼差しだけが、
鮮明さを増していく。
その炙り出された眼差しは、映画にも写真にも写らない、
文字で書かれた小説でしか抽出できない人間の姿であると感じます。