修験道という生き方 (新潮選書) の感想

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参照データ

タイトル修験道という生き方 (新潮選書)
発売日販売日未定
製作者宮城 泰年
販売元新潮社
JANコード9784106038372
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 宗教 » 宗教入門

購入者の感想

本書は、聖護院門跡門主の宮城泰年氏、林南院住職である田中利典氏、そして哲学者であり本書の編者でもある内山節氏が修験道について思い思いに語った対談集である。
修験道とは何かという原点に始まり、様々に話題が広がって行く所に醍醐味があり、修験道を通して日本人の信仰心のあり方を考えさせてくれるであろう。

さて、一般的には修験道の開祖は役小角(役行者)と言われているが、実は、修験道の中に流れている日本の自然信仰の起源はそれより遥かに古く、その起源を縄文時代…否、それ以前に遡る事が出来ると言う考え方もあると言う。
即ち、自然崇拝、民間信仰、仏教等など、全てひっくるめた形での日本独自の信仰の在り方の一つとして修験道が成立したのであり、非常に奥は深いのだ。
因みに、修験道の明確な定義がない理由の一つとして「文献が無い」事も挙げられる。
修験道の開祖とされる役行者についての記録すら殆ど無いと言うのは意外でもあったが、思えばそれこそが“民間信仰”の証拠なのであろう…これらについては序章で詳しい解説があるので、本章を読めば修験道の概要が理解出来るに違いない。

そして本題の対談では、冒頭に紹介した三者がそれぞれの考え方を披露しているが、各自が如何にして修験道に係わる事になったのかというエピソードも踏まえ、修験者としての“生き方”や“あり方”を壮大に語り尽くしてくれる。
更には、具体的な修行の厳しさの紹介は然る事ながら、近年盛んな一般市民の参加にも触れているので、軽い気持ちで行くべきではないと戒められた次第である。
また、後半では東日本大震災の話題にも触れながら原発問題にまで発展している。
勿論、こうした問題については読者の方も様々な見解をお持ちであろうが、本書は政治論争を吹っかけている訳ではなく、あくまでも「修験者として如何に取り組むべきか」という立場を取っているので、賛否両論は別としても多くを考えさせられるであろう。
そして“悟り”…特に、宮城氏の「修験は果報を期待して修行するのではない」という言葉に対し、田中氏が「悟りは“諦める”事から生じる」と述べているのは興味深い。

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