ルポ沖縄 国家の暴力 現場記者が見た「高江165日」の真実 (朝日文庫) の感想

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タイトルルポ沖縄 国家の暴力 現場記者が見た「高江165日」の真実 (朝日文庫)
発売日2020-01-07
製作者阿部 岳
販売元朝日新聞出版
JANコード9784022620002
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 軍事 » 軍事入門

購入者の感想

本土出身ながら沖縄タイムス記者の肩書を持つ著者が、高江ヘリパッド建設に対する権力側と住民側の闘争を克明に描いたのが本書である。
戦後日本は、沖縄をアメリカに差し出し、実質的な植民地として、アメリカと共に沖縄を支配してきた。住民の苦しみも、環境破壊も、全く意に介する事もなく、アメリカの為なら日本は何でも唯々諾々と従ってきた。そんな日本の情けなさ・醜さが、本書では存分に描かれている。
ヘリパッド建設に反対する住民達は、やむにやまれぬ思いで立ち上がった。彼らの抗議活動は至極穏健なものだったが、日本政府はあの手この手を使って彼らを弾圧し続けた。そのほとんどは法律に基づかないものである。住民は日当を貰っているだとか、中国・韓国のスパイが入り込んでいるとか、根拠のないデマも数多く流された。本書ではデマの分かり易い例として、百田尚樹の例を挙げている。百田の講演会の内容は、著者及び彼の家族への中傷や、中国人・韓国人への差別発言など、聞くに堪えないものばかり。著者が百田にあなたの発言には確証があるのかと質問すると、言下に「ないよ」とあっさり認める辺り、以下に無責任かつ適当に百田が発言しているかが窺える。中国人・韓国人への差別発言については、「差別意識はない」と反論していたが、つまり自分の事を、自覚もなく他者を差別してしまう危険な人間ですと言っているようなものである。彼は小説家だから空想が得意なのかもしれないが。このような人間がのさばる今の日本には何も期待してはいけないだろう。
住民の反対行動もむなしく、結局、高江ヘリパッドは完成してしまった。住民の反対行動が上手くいかないのは、本土の人間が無関心だからだ。本土の多くの人間が協力すれば、米軍基地などすぐに撤去できるのに。日本はかつて沖縄を侵略して日本領にし、その後も上記のようにずっと沖縄を苦しめ続けている。それなのに、日本人には全くその自覚がないのである。「人の不幸は蜜の味」という諺があるが、日本人は他者に、特に虐げられている弱者に世界一冷淡・冷酷なのではないか。日本人が親切だなんて嘘っぱちである。
沖縄は戦後日本の暗部を映し出す鏡である。

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