ネット私刑（リンチ） (扶桑社新書) の感想

私はこの著者の事は知らないが、スマイリーキクチさんの件についてを始め、匿名性を傘に１個人を吊し上げるネット私刑について、関係する　 人間の取材に基づいて書かれており興味深かった。実は数年前に読んだ本なので、レビューを書く前に他の人のレビューを見ておこうとしたら、１評価が沢山あったので、私はあえて評価５とする事にした。私はわざわざ１評価を付けるレビューワーは基本的に信用出来ないと思ってるので。安田氏の悪行？についてあげつらってるのも目にしたが、ネット上のレビューなのでデマの可能性が高いと判断。もちろん安田氏がこの本でデマを書いてる可能性もあるわけだが、少なくともネットでの言論よりは信頼出来る。これだけ１評価を受けるのは、むしろこの本に価値がある事の証拠と私は受け止めた。
　全く違う話だが、将棋の三浦九段の冤罪？事件で、ネット上が盛り上がり、渡辺竜王側の人間に対する攻撃が酷かった。あれは渡辺竜王の方が位が上なので、正義感で大勢のネット住民が渡辺竜王を叩いたと言う図式だったが、心性的にはネット私刑のようなものだと思っている。私自身は三浦九段は冤罪で渡辺竜王に非があったと思っているのだが、ネット上の匿名の正義感の怖さを感じたものである。
　私も含めて誰しもがネットの書き込みで加害者になる可能性があると肝に銘じておきたいものである。たとえ自分が正しいと信じ、皆が同意見であるような場合でも。ネット私刑の多くが「善意」から引き起こされているのだから。