五〇年目の日韓つながり直し -日韓請求権協定から考える の感想

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参照データ

タイトル五〇年目の日韓つながり直し -日韓請求権協定から考える
発売日販売日未定
製作者吉澤 文寿
販売元社会評論社
JANコード9784784515578
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治入門

購入者の感想

本書は、日韓国交正常化50年に当たる2年前に開かれたシンポジウムの内容を発展させたものだ。日本と韓国の間で繰り返される摩擦の原因が、1965年の日韓基本条約と請求権交渉にあるとして、日韓の学者、在日韓国人、ジャーナリスト、在野の研究家がそれぞれの立場から「原点」を考え直しており、慰安婦像問題でまた関係が悪化している日韓関係を考えるうえで、重要な示唆を与えてくれる。

日韓の国交正常化では、韓国側からの財産や、労働の対価に対する「請求権」が、日本からの有償、無償援助に変えられ、「国民の間の請求権に関する問題が、完全かつ最終的に解決されたこととなる」と条約に明記された。

日本政府も、繰り返しこの文言を強調する。

しかし、実際は当時想定されていなかった被爆者や慰安婦問題が浮上し、日本政府は対応を迫られた。近年、請求権を国と国との条約で封じ込めることは「非人道的」であり、できない。個人としての請求権は消えないということが国際社会でも認識されてきている。

日本は日韓国交正常化で、植民地支配の責任を直視せず、「未来志向」を強調して世論や国会論議をまとめていった。しかし、そのことで、50年以上たった今も、韓国と安定的な関係を築けずにいる。

本書の136Pに、日韓基本条約の批准を論議する国会論議の中で、佐藤栄作首相が語った言葉がある。

「(日韓の国交正常化は)善隣友好並びに平和、これを念願しておりわが国の基本的態度であります。隣の国の韓国と仲良くする。これができなくては、アジアにおける平和を論ずる資格がない」

2015年暮れに結んだ、慰安婦をめぐる合意が守られていないからと在ソウルの日本大使を一時帰国させた、安倍政権は、この言葉をよくかみしめて欲しい。

日韓両国の戦後を作ってきた体制の問題点を再度考え直すことこそ、日韓の未来を考えることだー本書は、そんな真摯な問いかけにあふれており、幅広く読んでもらいたい良書だ。

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