周縁のマルクス -ナショナリズム、エスニシティおよび非西洋社会について の感想
参照データ
タイトル | 周縁のマルクス -ナショナリズム、エスニシティおよび非西洋社会について |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | ケヴィン・B・アンダーソン |
販売元 | 社会評論社 |
JANコード | 9784784514953 |
カテゴリ | ジャンル別 » 人文・思想 » 哲学・思想 » イデオロギー |
購入者の感想
本書は、マルクスの著作において「主要」なものとされてこなかった、新聞への寄稿論文やインターナショナル組織の宣言、彼の手紙および研究ノートに注目し、非西洋社会・人種・ナショナリズム等に関するマルクスの理論的な分析を浮き彫りにしている。
タイトルにある「周縁」というワードは、19世紀のグローバル資本主義において、(1)その内部に組み込まれていながらも末端に位置している存在(アイルランド、アメリカ合衆国)、(2)部分的に組み込まれている存在(インド・アルジェリア・インドネシア)、(3)その外部に置かれている存在(ロシア・中国・ポーランド)という3つの存在を意味している。こうした周縁地域の前資本主義的社会に資本主義が浸食していくにつれて、革命的変革への新たな可能性が生まれて来る、とマルクスは考えたのである。
本書で示されているマルクスの思想における変化、つまり『共産党宣言』等の1840年代・50年代前半の著作にあらわれているような、非西洋社会は資本主義の浸食を免れえず世界市場や植民地主義等を通して近代化されていく、というエスノセントリックな見方が変化し、むしろマルクスが非西洋社会の発展の多様性を認め、資本主義の中心に位置する国々の労働運動と、「周縁」の民族主義運動や反植民地主義運動等の相互作用に注目していく、という事実は非常に興味深い。階級にナショナリズムやエスニシティを解消させるのではなく、それらを交差させるマルクスの思想は、21世紀の現代社会を読み解く上でも非常に大きな意味を持っていると感じさせてくれる。
タイトルにある「周縁」というワードは、19世紀のグローバル資本主義において、(1)その内部に組み込まれていながらも末端に位置している存在(アイルランド、アメリカ合衆国)、(2)部分的に組み込まれている存在(インド・アルジェリア・インドネシア)、(3)その外部に置かれている存在(ロシア・中国・ポーランド)という3つの存在を意味している。こうした周縁地域の前資本主義的社会に資本主義が浸食していくにつれて、革命的変革への新たな可能性が生まれて来る、とマルクスは考えたのである。
本書で示されているマルクスの思想における変化、つまり『共産党宣言』等の1840年代・50年代前半の著作にあらわれているような、非西洋社会は資本主義の浸食を免れえず世界市場や植民地主義等を通して近代化されていく、というエスノセントリックな見方が変化し、むしろマルクスが非西洋社会の発展の多様性を認め、資本主義の中心に位置する国々の労働運動と、「周縁」の民族主義運動や反植民地主義運動等の相互作用に注目していく、という事実は非常に興味深い。階級にナショナリズムやエスニシティを解消させるのではなく、それらを交差させるマルクスの思想は、21世紀の現代社会を読み解く上でも非常に大きな意味を持っていると感じさせてくれる。