堕落論 (集英社文庫) の感想
参照データ
タイトル | 堕落論 (集英社文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 坂口 安吾 |
販売元 | 集英社 |
JANコード | 9784087520026 |
カテゴリ | ジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 |
購入者の感想
太平洋戦争が終わり、ようやく言いたいことが言える日本になった。戦争を主導した軍閥、政治家の老人達が、それでも生にしがみついて、東京裁判の場に引かれてゆく姿に嫌悪感を覚えながらも、安吾は解放された自由思想の中に喜びを爆発させた。過去の支配に対する怒り、無意味であった日本の伝統文化への軽蔑、新しい西欧文化の受容、こうしたものがない混ぜになっているので、喜びだけが彼の心を支配していたとは見えないのだが、それでもやはり、何が何でも過去の文化を御破算にしたいという彼の強い意思が伝わってくる。これが戦後の日本国民に熱狂的に受け入れられたのである。自由と平和を希求する心が日本国民の仲に満ち溢れていた。戦争というあまりにも大きな犠牲を払ったものの、昭和20年代の日本は、かなり幸運な時代転換を遂げることが出来たと言える。