闇の奥 (文春文庫) の感想

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参照データ

タイトル闇の奥 (文春文庫)
発売日2013-02-08
製作者辻原 登
販売元文藝春秋
JANコード9784167316112
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » た行の著者

購入者の感想

 初出時に「イタリアの秋の水仙」だったタイトルは「闇の奥」に改題された。「闇の奥」と言えば、アフリカ奥地を舞台に西洋文明の暗黒面を描いたジョゼフ・コンラッドの古典的名著が思い出される。コッポラ監督がここからベトナム戦争を背景に「地獄の黙示録」という新たな作品世界を描いたように、著者もまた、独自の世界を構築しようという難題に果敢に挑んだ1人のようだ。
 太平洋戦争末期、矮人族(ネグリト)と呼ばれる小人を探し、ボルネオで消息を絶った民族学者の後を追う物語。戦後まもない時期から現在(2009年)に至るまで、和歌山からボルネオ、雲南、チベットへと舞台は広がりながら、5次にわたる捜索劇が繰り広げられる。「和歌山毒物カレー事件」などの史実を織り交ぜ、時には実際の新聞記事を引用するなど、虚構と現実の世界を往復しながら、読者を作品世界に引きずり込む手法はお見事。次第に実際の出来事ではないかとの錯覚にさえ陥った。
 息もつかせぬ冒険譚。

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