アジア史概説 (中公文庫プレミアム) の感想

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タイトルアジア史概説 (中公文庫プレミアム)
発売日2018-06-22
製作者宮崎 市定
販売元中央公論新社
JANコード9784122066038
カテゴリ歴史・地理 » 世界史 » アジア史 » その他

購入者の感想

中国の宋代を近世の開始ととらえ、果てはイスラム帝国の出現をも西アジア地域の近世の開始ととらえる独特な歴史観に納得できるかはともかくとして(宋代近世論はかなり支持されてますが)、欧州、西アジア、中国、日本のそれぞれの時代相の転換がリンクしているという観察は納得せざるをえない。

欧州において西ローマ帝国が崩壊し封建的割拠の時代に入るやいなや隣地西アジアにおいてイスラム帝国による統一がなり、貧窮化する欧州を後目に繁栄を謳歌する。中国で宋が出現し商業を大発展させ繁栄し始めたタイミングで隣地日本では鎌倉幕府が創設され、商業化を忌避する自給自足経済に閉じ籠ろうとする。

宮崎博士はそうした隣接地域間の時代変化のタイミングのリンクは偶然ではなく因果関係が明確にあるとし、それは金銀の流出入の関係だという。つまり、イスラム帝国の繁栄と欧州の貧窮化は表裏一体で、それは欧州から金銀が西アジアへと流出し続けた結果なのだと。宋と日本も同様で、日本の金銀が中国へと流出していたとする。

なるほど。社会全体の貧窮化と封建的割拠は無関係ではないだろうし、希少資源だった金銀が世界中で奪いあいだったのであろうことも一応納得はできる。しかし、何かひっかかる。さすが稀代の大歴史家の構想ですね。トンデモ的な話がトンデモでなくなる恐るべき力量にただただ脱帽です。

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