翻訳ってなんだろう? (ちくまプリマー新書) の感想

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タイトル翻訳ってなんだろう? (ちくまプリマー新書)
発売日販売日未定
製作者鴻巣 友季子
販売元筑摩書房
JANコード9784480683236
カテゴリ文学・評論 » 評論・文学研究 » 外国文学研究 » 英米文学

購入者の感想

著者は、‟精密な読書” ‟丹念な読み”から良い訳文は作られることを本書で強調している。しかし、例えば第7章ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』課題文B(126ページ)を読んで気付いたのは、精密な読書、丹念な読みとは真逆の、原文を無視した、一語一句を精読しているとは思えない講師訳例(=著者訳)を平気で提示していることだ。
原文が[Mrs. Ramsay], thinking that Lily’s charm was her Chinese eyes, aslant in her white, puckered little face, but it would take a clever man to see it, となっているのを課題文で著者はChinese eyes に続くaslant以下を勝手に(中略)と表示してバッサリとカットし、「あの中国人のような切れ長の目」の訳文を示す。
目がaslantの状態にあるとはslant-eyed(目が吊り上がった)状態をいい、Lilyの目は「切れ長の目」などではなく「吊り目」であり、それが色白のちんまりとした彼女の顔にマッチして魅力的なのだ、殿方ももう少し賢ければ分かりそうなのだがというのがこのくだりだ。「新世代を代表する自立した画家の卵であるリリー・ブリスコウ」にふさわしい容貌を窺わせるいかにもヴァージニア・ウルフらしいこの描写の箇所をバッサリ落として「丹念な読み」も何もないものだと思う。

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筑摩書房から発売された鴻巣 友季子の翻訳ってなんだろう? (ちくまプリマー新書)(JAN:9784480683236)の感想と評価
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