統語意味論 の感想
参照データ
タイトル | 統語意味論 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 上山 あゆみ |
販売元 | 名古屋大学出版会 |
JANコード | 9784815808228 |
カテゴリ | 人文・思想 » 言語学 » 日本語・国語学 » 日本語研究 |
購入者の感想
人工知能(AI)が大流行だが、そんな中、少し前に、「東ロボくん」が東大合格をあきらめたというニュースが流れた。理由は自然言語の処理が難しいから。それには、「常識」を身につけること、つまり、フレーム問題が依然として解決できていないことが大きいが、それに加えて、そもそも自然言語の「意味」を理解するようにプログラムされていなかったことも大きい。後者については、文が「意味」を生成する仕組みについて、これまで誰も解明できていなかったのだから(チャレンジしたものの、死屍累々)、それも当然である。もちろん、単語を画像などと対応づけることなら簡単だし、他の属性(例えば品詞)をその単語と関連づけて登録しておく(あるいは「学習」させる)こともできる。しかし、さまざまな文の「かたち」(統語構造)がどのように「意味」を生み出すのか、そのメカニズムを捉えること(そしてプログラムすること)、言い換えれば、統語論と意味論を一体的に把握することは、これまで誰にもなしえなかったのだ。文の「意味」とは何かを明示しつつ、それを初めて体系的に行ってみせたのが本書である。画期的とはこういう仕事のことを言うのだろう。初手からすみずみまで理解することはたやすくないかもしれないが、その考え方と具体例にふれるだけでも得るところは大きいはずだ。およそ言葉に関心のある人なら、AIがお好きでも苦手でも、一読をお勧めしたい。