藤田嗣治 作品をひらく -旅・手仕事・日本- の感想

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参照データ

タイトル藤田嗣治 作品をひらく -旅・手仕事・日本-
発売日販売日未定
製作者林 洋子
販売元名古屋大学出版会
JANコード9784815805883
カテゴリ芸術一般 » 美術史 » 西洋美術史 » ルネサンス

購入者の感想

藤田嗣治の伝記に興味があったから、アマゾンで洋書を買ったが、知識が足りなくて、人名のそれも日本の画壇で活躍した人の名前が分からず、漢字もないので、あきらめかけていたところ、本書をプレゼントされた。値段もページ数もボリュームたっぷりの本書は、暦とした研究書だったが、基礎知識のない私の興味を削ぐことなく、藤田や藤田を取り巻く、作品や、作品が制作された背景、作品に描かれた背景、書簡、などなどを通して、藤田の誕生から第二次世界大戦後までの半生(3分の2生か?)を、追跡する。なにやら、考古学のフィールドワーク謎解きのようなワクワク感のある一冊。
藤田嗣治は、あまり日本に知られてこなかった画家だという。1つには戦時中に戦争画を描いたため、戦後の日本人に敬遠されたためと、また1つには、日本での画壇デビューをする前にパリで売れっ子になったため、単に日本の洋画の範疇に収まりきらないところがあること、また、彼の最後の奧さんが藤田や藤田作品が勝手な解釈をされることを快しとしなかったことなど、様々な理由があるだろうが、本書はご遺族の心情にも充分配慮をしながら、ひたすら作品を見つめることから論じる姿勢を貫いているところが、とても気持ちよかった。
他のレビューアーの方も指摘されているとおり、たしかに本書には、カラーでの作品の紹介が少ないが、逆に、私には、文章中で言及のある作品については可能な限り(散逸や作者自身が焼却処分したものを除く)その構図が分かるようになっているのは、ものすごく有り難く、この値段でこれだけの図版を挿入できたことをむしろ評価したいです。
まだまだ藤田や藤田作品について分かっていないことは多く、本書は今後の研究課題なども含めて、現在分かっていることと分かっていないことを明記してある。藤田が最後にフランスに戻って帰化しカトリックの洗礼を受ける段は駆け足で終わっているので、今後さらなる研究がなされることを期待します。

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名古屋大学出版会から発売された林 洋子の藤田嗣治 作品をひらく -旅・手仕事・日本-(JAN:9784815805883)の感想と評価
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