医と人間 (岩波新書) の感想
参照データ
タイトル | 医と人間 (岩波新書) |
発売日 | 販売日未定 |
販売元 | 岩波書店 |
JANコード | 9784004315353 |
カテゴリ | ジャンル別 » ノンフィクション » 科学 » 医学 |
購入者の感想
「第29回日本医学会総会を記念して(p.ii)」出版された本書は、『医の現在』『医の未来』の続編と言ってよい。医と人間に関わる11のトピックをそれぞれの専門家(医師とは限らない)が語る。医学・医療の最先端を垣間見ることができる。「多くの部分はインタビューから書き起こしていただき加筆(p.iii-iv)」とあり、ほとんどの章はたいへん読みやすい。
「そうなのか」「なるほど」と思ったフレーズをいくつか。
「iPS細胞を使った医療では再生医療が注目されていますが、実はもっと幅広い活躍ができる分野として創薬研究があります(p.13)」(山中伸弥)
「治療のためには『どの臓器で生じたがんか?』という情報より、『どういう遺伝子異常で生じたがんか?』のほうが、はるかに大切です(p.34)」(間瀬博行)
「意欲に関する領域は、大脳新皮質よりも内側の辺縁系がメインです。……より原初的な脳機能ですから、意欲を後から育てようと思ってもむずかしく(pp.88-89)」(小泉英明)
「病気は、『治すもの』だったのが、病気は、『ならないようにするもの』だという方向にいかなくてはいけない(p.108)」(井村裕夫)
さて、本書の「胃ろう問題と死生学」(会田薫子)には、「日本よりもアルツハイマー病に関する研究の歴史が長く、研究知見の蓄積が厚い欧米諸国では、各国の医学会やアルツハイマー協会が胃ろう栄養法等の経管栄養法に関しては否定的なガイドラインを出しています(p.222)」とある。
アルツハイマー病が進行し、最後の1年強は寝たきりであった親族が肺炎になったとき、医師から「物が食べられなくなる可能性があるので、その場合に胃ろうをするかどうか家族で決めてほしい」と告げられた(結果的には、その決断をする前に逝去した)。
ガイドラインに即せば「胃ろうはすべきではない」というのが「正しい」のだろうけれど、本当にそうなのか、迷うところである。
「そうなのか」「なるほど」と思ったフレーズをいくつか。
「iPS細胞を使った医療では再生医療が注目されていますが、実はもっと幅広い活躍ができる分野として創薬研究があります(p.13)」(山中伸弥)
「治療のためには『どの臓器で生じたがんか?』という情報より、『どういう遺伝子異常で生じたがんか?』のほうが、はるかに大切です(p.34)」(間瀬博行)
「意欲に関する領域は、大脳新皮質よりも内側の辺縁系がメインです。……より原初的な脳機能ですから、意欲を後から育てようと思ってもむずかしく(pp.88-89)」(小泉英明)
「病気は、『治すもの』だったのが、病気は、『ならないようにするもの』だという方向にいかなくてはいけない(p.108)」(井村裕夫)
さて、本書の「胃ろう問題と死生学」(会田薫子)には、「日本よりもアルツハイマー病に関する研究の歴史が長く、研究知見の蓄積が厚い欧米諸国では、各国の医学会やアルツハイマー協会が胃ろう栄養法等の経管栄養法に関しては否定的なガイドラインを出しています(p.222)」とある。
アルツハイマー病が進行し、最後の1年強は寝たきりであった親族が肺炎になったとき、医師から「物が食べられなくなる可能性があるので、その場合に胃ろうをするかどうか家族で決めてほしい」と告げられた(結果的には、その決断をする前に逝去した)。
ガイドラインに即せば「胃ろうはすべきではない」というのが「正しい」のだろうけれど、本当にそうなのか、迷うところである。