二月の勝者 ー絶対合格の教室ー (2) (ビッグコミックス) の感想

中学受験に代表される受験全般の現実や、保護者、塾（経営）、塾講師、受験生それぞれの立場での心理や行動が描かれています。
取り戻せないコスト（お金や時間などの埋没費用）の為に、1年以上続けた塾を止める事ができない保護者の心理。
ちなみに、経済学では、埋没費用（サンクコスト）は、諦めるというのが一応の正解です。しかし、諦めきれないのが人間です。塾側はその心理を巧みに利用しています。ポーカーでレイズさせる様に、小さく細かくそして莫大な追加投資を行わせ、引くに引けない心理的状況を巧みに築きます。

また、よりよい環境を目指して、転塾を模索する生徒と陥りがちな出来事。
それを見越して、経営として行う対策。
非協力的のみならず子供に悪影響をあたえる父親。

中学受験の希望と絶望が各種織り込まれているので、
中学受験しようかと思っている保護者は早く読むべきだと思います。
そしてこれを読んで、
「塾は儲けたいから。。。」と考えるよりも、塾の経営としての行動を把握しつつ、持てる資金と子供自身の能力、保護者の協力というリソースの制約の中で、子供に最善を選び取る力が保護者には要求されます。

学歴は、お金で買える人生の位置エネルギー。
ただし、ものすごく高額なので、踏み込む前に熟慮しましょう。
この本は、踏み出す勇気も、踏みとどまる勇気も、どちらも与えてくれると思います。