不倫、愛憎、夜逃げ、盗聴…闇世界のすべて 探偵裏事件ファイル (文春文庫) の感想

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参照データ

タイトル不倫、愛憎、夜逃げ、盗聴…闇世界のすべて 探偵裏事件ファイル (文春文庫)
発売日販売日未定
製作者小原 誠
販売元文藝春秋
JANコード9784167773786
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論

購入者の感想

平成20年に刊行の『探偵裏物語』を改題し、加筆したものの文庫化。35年にわたって
(親本刊行から5年経つから、現役ならば40年)探偵業に従事し、探偵事務所を運営
してきた著者が、探偵業とは何か、どのように調査するのか、依頼する時の心得など、
誰でも存在は知っているが多くの人にとって無縁な探偵という職業について解説する。

著者が探偵を生業にするに至った経緯、師匠から会得した探偵の技術と心得、事務
所を立ち上げ、軌道に乗るまでの紆余曲折など、自身の探偵履歴や経験についても
詳しく語っている。[現役探偵の調査報告書]という章では、著者が遭遇した事件簿を
紹介する。探偵の請け負う仕事は行方不明人探し三割、浮気調査三割、身元・素性
調査三割、その他一割だそうだが、それぞれに悩める人々のドラマがある。人情派
探偵を自認する著者が目撃する人生の悲喜劇。それでも探偵として依頼者のために
最善を尽くし、依頼者の喜ぶ顔を見れた時、この職業で本当に良かったと思うそうだ。 
異例なのが三章[探偵も千差万別]で、この章だけは元警察官の北芝健氏が執筆して
いる。刑事から見る民間探偵、警察官と探偵の違いなどについて書いていて面白い。

気になったのは個人情報保護法施行によって、調査活動に著しい困難が生じている
現状について。そのために依頼料の高騰を招いているとのことである。調査活動が
人の救済になる機会は多いのに、高額のために気軽に相談できない現状は問題で
あろう。文庫版のあとがきには、「現在届出制である探偵業界が、いずれアメリカの
ように国家レベルの検定試験に合格し資格を得る、許認可制の業界へ移行してほし
いと切に願っている」とある。信頼される業界への変化を望む著者の願いの表れだ。

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