女の一生〈1部〉キクの場合 (新潮文庫) の感想

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タイトル女の一生〈1部〉キクの場合 (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者遠藤 周作
販売元新潮社
JANコード9784101123233
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学

購入者の感想

明治の開国期の「浦上四番崩れ」を巡る、史実に基づいた小説です。

主人公「キク」を始め、全く立場の違う人達の心理をそれぞれ深い洞察力で描き、また日本国内におけるキリシタン弾圧を世界(欧米)と日本という観点からも描き、非常に印象に残る作品でした。「黄色い歯の」チンピラのあまり信用の置けなさそうなところや、プティジャン神父の言葉で言うと「小悪党だが悪魔にはなれぬ男」の下級役人の伊藤の弱さが時々「沈黙」のキチジローを思い起こさせました。迫害を受けたキリシタンたちの「強さ」には本当に敬服しますが、この小説を読んでいて、非キリスト教徒たちが当時のキリシタンたちを何となく胡散臭いやつら、と思っているようなところも、なるほどな、と思いました。津和野での拷問の様子や街の細かな描写などから、遠藤周作氏は何度も長崎を訪れたり資料にも熱心に目を通されたかと思われます。(プティジャン神父は「信徒発見」の当事者ですし、守山甚三郎や高木仙右衛門は実際に津和野に流され拷問を受けました。ほんの少し登場する「マキ」も実在した女性ではないかと思われます。)キクが体調を崩してから亡くなるまでの展開が速かった気がしますが、この小説全体から私が受けた衝撃に比べれば僅かのことで、「沈黙」よりも印象に残る作品でした。

ただ、非常にカトリック色の濃い作品なので、カトリックの信仰を持たない読者には、もしかしたら腑に落ちないところがあるかもしれません。

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新潮社から発売された遠藤 周作の女の一生〈1部〉キクの場合 (新潮文庫)(JAN:9784101123233)の感想と評価
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