権力 VS 調査報道 の感想

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タイトル権力 VS 調査報道
発売日販売日未定
製作者高田 昌幸
販売元旬報社
JANコード9784845112364
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » マスメディア » ジャーナリズム

購入者の感想

 私たちが新聞やテレビで知るニュースの大半は、警察等の当局が発表したものを、記者が読者や視聴者に伝える発表報道である。こうしたニュースは、伝え方は各報道機関によって多少異なるだろうが、必然的に当局が発表してほしい、或いは発表せざるを得ない事実ということになるだろう。これに対して、記者が時間をかけてひとつのことを調査し、その全容を読者、視聴者に伝えるのが調査報道である。伝えられる内容は当然、自ら調べるだけの価値のあること、取材対象が隠しておきたい、発表して欲しくない事実ということになる。
 編者の一人黒田純によれば、調査報道とは、「権力側が隠そうとする都合の悪い事実を、独自の調査取材で、読者のために提供すること」と定義される。本書は、調査報道の金字塔とされるリクルート未公開株事件、日米地位協定の真の内容、高知県闇融資問題、特捜検事による証拠フロッピー改竄事件を暴き出し、巨大権力を持つ者の犯罪を白日の下に晒した4人の記者へのインタビューで始まり、自らも記者である編者の二人が調査報道の可能性、報道のあり方について提言するという構造になっている。
 大変有益な本である。この国でもまだ正義は完全に死んではいないという気持ちになる。だが同時に、犯罪者であることが暴かれた権力者が、その後も権力の座に居座る姿、福島や沖縄の現状を考えると、この国に聳える悪しき権力の壁の厚さに暗鬱な気分にもなる。しかし、世界はそんな風にしか変わっていかないものだし、また、それでいいのかもしれない。一夜にして世界が変わってしまったら、できあがった新しい世界はきっと薄っぺらで脆いものに違いない。自らが正しいと信じ、広く伝えるべきだと信じる事実を掘り起し、世に知らしめていくことが、あるべきよりよい世界の確固たる基盤を形成していくことになるのだと思う。そんなことを考えながら、私はこの本を読み終えた。ぜひ一読をすすめたい。
 これを書いている現在、現政権の大疑獄事件が連日話題となっている。この詐欺事件も、もしかしたらうやむやのうちに闇に葬られていくかもしれない。大新聞が総理大臣と寿司を食って談笑するくらい、報道倫理、報道する者の気概が地に落ちた国なのだ。それでも、伝えるべき事実を伝えようとする者はいる。そこに希望を見出したい。

今日の新聞紙面の7割とも8割ともいわれる「発表報道」

単純に言ってしまえば「発表報道」とは、「権力側が発信
する情報を速報ニュースとしてそのまま垂れ流す」ことで
しか無く、震災報道、特に福島第一原発の報道などによっ
て報道不審の声が一気に高まったように、それは「客観報
道」などと呼べるようなものではなく、権力側の言い分を
一方的に報じる「偏向報道」、ある意味で権力サイドの広
報にしか過ぎない。

一方「調査報道」とは、編者である小黒氏によると、「究
極的には、社会正義実現のために行う」ものであり、その
成立するための要件は’一.権力側が隠そうとする不正など
の都合の悪い事実を、’二.独自の調査取材で、’三.読者の
ために報道すること、であるとされる。

本書はそんな「発表報道」の対極に位置するような「調査
報道」にスポットを当て、

元朝日新聞記者 山本博氏「リクルート報道」
前琉球新報論説委員長 前泊博盛氏「日米地位協定関連文書をめぐる報道」
元高知新聞社会部長 依光隆明氏「高知県庁の闇融資問題の報道」
朝日新聞記者 板橋洋佳氏「大阪地検特捜部検事による証拠改竄報道」

上記四氏のインタビューを通して、「調査報道とは何か」
を明らかにしようとするものである。

「権力は腐敗する」とはアクトン卿の言葉であるが、その
前提に立てば、その権力の監視といった役割を担っている
のが報道機関であり、究極的には「調査報道」である。

そうであるならば、各報道機関はもっと「調査報道」とい
う部分に力点を置くべきであるのが自明ではあるが、今日
の紙面は残念ながらそうはなっていない。

本書を読むと、巷間言われるような報道機関の体たらくと
は相反するように、それなりに志もあり熱意もある記者が
多くいることがよくわかる。

しかし、「調査報道」といった報道機関が本来積極的に取

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