斜陽 人間失格 桜桃 走れメロス 外七篇 (文春文庫) の感想

アマゾンで購入する

参照データ

タイトル斜陽 人間失格 桜桃 走れメロス 外七篇 (文春文庫)
発売日販売日未定
製作者太宰 治
販売元文藝春秋
JANコード9784167151119
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学

購入者の感想

太宰治がここまで熱狂的に支持される理由はいったい何か?
卓越した文章表現であったり、ストーリーテラーとしての類まれなるセンス等、
批評家の数だけ、美点が見いだされるだろう。
しかし、最大にして、おそらく正解であるのは、「共感」であろう。
等身大の自己の未熟を恥ずかし気もなく、あからさまに投影した作品の世界観に、
読者は共感を通り越して、救いすら感じてしまうのではなかろうか。
ここまで支持される事実を、あえて逆から読み解けば、おのずと見えてくることがある。
太宰作品は、読者を選ばないという事だ。
読者の性別、年齢、社会的地位、人生観、良識等々を、選ばない。
つまり、太宰が描く未熟な人間像ーダメ人間ーは、
人であれば、誰しもが抱えているのである。
我々、人間は、その未熟を、騙し騙しで、
あまり大きく顔がはみ出ることがないよう、上手に隠しているつもりで、
社会で生き延びようとしている。
反面、その未熟が派手に露出し、勝手に暴れだせば、社会から締め出されることも知っている。
その“生きづらさ”を抱えているのが、人間なのかもしれない。
しかし、太宰は違う。
生きづらさが振り切れていて、社会との調和を完全に諦めている。
もはや、その向こうにあるのは死しかない。
破綻していく潔さ、解放される快感。
生きづらさが振り切れれば、待っているのは、人生からの崩落。
その崩落への、ある種の憧れに近い感慨を、
人間なら誰しもが隠し持っているのかもしれない。

あなたの感想と評価

コメント欄

関連商品の価格と中古

斜陽 人間失格 桜桃 走れメロス 外七篇 (文春文庫)

アマゾンで購入する
文藝春秋から発売された太宰 治の斜陽 人間失格 桜桃 走れメロス 外七篇 (文春文庫)(JAN:9784167151119)の感想と評価
2017 - copyright© みんこみゅ - アマゾン商品の感想と評価 all rights reserved.