The Day of the Triffids の感想

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参照データ

タイトルThe Day of the Triffids
発売日販売日未定
製作者John Wyndham
販売元Penguin
JANコード9780141033006
カテゴリ洋書 » Subjects » Science Fiction & Fantasy » Science Fiction

購入者の感想

突如訪れた流星群。緑に輝く美しい光が多くの人を魅了する。だが一夜明けると観賞した人はみな失明している。追い討ちをかけるように、食用に栽培された歩行植物トリフィドの逆襲が始まると、事態はより深刻になる。

1951年初版刊行。その後さまざまな表題で邦訳版が出たが、幼少時に読んだ「怪奇植物トリフィドの侵略」を含め、現在いずれも絶版中。原書も一時絶版の憂き目にあったが、さいわい再版され、新書で入手可能。

再読してみると当時とずいぶんイメージが違う。文章は、ねちねちと観念先行のわりに説明が雑で、肝心のスリルも薄味だ。この手の文体を好む人もいるかも知れないが、読みにくく、わかりにくいのは確か。人食い植物が暴れまわるジャンルフィクションの王道のような設定なのに、娯楽性は意外に低い。子供でも読了できたのが不思議なほどで、絶版もむべなるかなという感じだ。しかしそういう瑕疵もあくまで些細なもの。これが名作であることに異論をはさむにはいたらない。

核戦争の予感がこの物語を書かしめたといわれているが、テーマは、軍事衛星、生物化学兵器の恐怖から外来生物の蔓延まで広範囲だ。また著者の先見性は、科学技術にとどまらず、社会科学にまでおよぶ。孤ははかなく、人は社会を形成しなければ生きてゆけないが、階級はつねに対立し、相克は新たな矛盾を生む。そういった社会発展の難しさを見抜いている。いわば空想社会科学小説だ。冷戦は終結したが、物語によって突きつけられた問題は、今なお手つかずのままそこにある。この本の普遍的価値も同様。だからこそ版を重ねているのだろう。社会格差に心を痛め、バイオテロに怯えているうちは、今日も明日も「トリフィドの日」。いつになったら終わるのだろう。

子供のころは、わからなかったことばかりだ。再読してよかったと思う。

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